ズワイガニ大丈夫? 新湊漁港で初競り 水揚げ例年より2、3割減
日本海に冬の訪れを告げるズワイガニ漁が解禁され、射水市の新湊漁港で8日、初競りが行われた。新湊漁協によると、初日の水揚げは例年の2~3割減とやや少なめに。能登半島地震以降、富山湾で水産物の不漁が続く中、「ズワイガニは大丈夫か」と、関係者にとっては気をもむ日々が続きそうだ。 新湊漁港では悪天候のため6、7日と出漁が見送られ、8日が今季の初競りとなった。8日は底引き網漁船4隻が出漁し、水揚げは490匹で、重さ1・3キロ以上の「特選」は1匹だった。雌の水揚げは例年並みの900匹。浜値は2割高だった。 豊富な魚介類が生息し、「天然のいけす」と称される富山湾では今年、シロエビやベニズワイガニなどの不漁が続いている。富山県水産研究所によると、能登半島地震に伴い富山湾内の海底で地滑りが発生、これにより魚介類の生息域が変わって不漁の原因になっているとの見方がある。 ズワイガニ漁は沖合2~5キロ、水深約300メートルの漁場で行われる。8日は出漁した4隻で、漁船ごとの水揚げ量に大きな差があった。 漁船「峰與丸」では例年の約9割を水揚げし、縄井峰勝船長(60)は「どの場所にカニがいるのか分からないので運次第。ある程度、きょうは捕れたので、とりあえずほっとした」と安堵(あんど)。一方、1割以下の水揚げにとどまった漁船「松宝丸」の松本隆司船主(53)は「海底隆起で網は破け、カニも取れない。これからもどこにいるのか探り探りの漁になる」と不安を口にした。 漁期は雌が来年1月20日、雄は3月20日まで。8日は能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県の輪島港でもズワイガニが水揚げされた。 ●身の詰まり具合上々 関係者によると、水揚げされた個々の身の詰まり具合は上々という。「割烹かわぐち」(射水市中央町)仕入れ担当の瀬戸拓也料理人(44)は「身が詰まったカニが多く安心した。味も良いはず」と話した。