京急「屋根のないバス」に乗ってみた 青い海にトンビの声…三浦半島を満喫
青い海が広がり、自然に囲まれた三浦半島で、ひときわ目を引く2階建ての赤いバスがある。京浜急行電鉄が運行する屋根のない「オープントップバス」だ。 9月にコースを刷新し、出発地を京急線三崎口駅から三浦海岸駅に変更した。バスに乗りながら三浦半島の海風を感じることができると聞き、さっそくツアーに参加してみた。 体験した「みうらブルーコース」は三浦海岸駅─江奈湾─剣崎─城ケ島─三崎を約40分かけて走行する。三浦海岸駅の改札前にある案内所で乗車券を購入。京急線の「2100形」を模した赤い車体のバスに乗り込み、いざ出発。 2階の座席もやはり、京急線仕様。青地のシートに背もたれの赤いカバーで、こだわりを感じる。県道214号を走るうち、磯の香りが漂ってきた。眼前に青々とした東京湾が開け、波音やトンビの鳴き声も聞こえる。 ガイドの語り口も軽妙だ。三浦や三崎の歴史、名産品だけでなく、来春閉校する三浦市立剣崎小学校の取り組みなど話題は尽きない。みな三浦半島にゆかりがあるといい、原稿をそれぞれが作っているという。同じコースでも同乗するガイドによって内容が異なるのも一興だ。 風車が立つ宮川公園や大根畑を抜けて橋を渡ると、城ケ島に到着。ここで下車したツアー参加者を見送り、記者は終点の三崎港にある産直施設「うらりマルシェ」に直行。漂うイカ焼きの香りは、空腹にたまらなかった。開放感あふれるオープントップバスからの眺望は、新たな発見が詰まっており、あっという間のひとときだった。 ちなみに、屋根がないゆえに天候次第で早々に運休となる場合も。利用時に案内所で運行予定を確認しておくのがいい。この日は乗車前に小雨が降り始め、レインコートを貸してくれて安心だった。 京急担当者は「観光客だけでなく地元住民の乗車率も高い。三浦半島の新たなアクティビティーとして受け入れられている」と話す。地元のお墨付きのオープントップバスで、三浦・三崎の魅力をまるごと感じてほしい。
神奈川新聞社