「保護の成功例」カッショクペリカンが謎の大量餓死、餌はあるのになぜ、米西海岸
住宅の裏庭や駐車場など珍しい場所での目撃や不可解な行動も、2年ぶり2度目の危機
米国カリフォルニア州沿岸では2022年に続き、病気やけがのカッショクペリカンが大量に発生しており、科学者はその理由を探ろうとしている。 ギャラリー:飢餓や低体温で保護されたペリカンたち、100羽以上の受け入れも 写真5点 2024年5月下旬現在、数百羽のカッショクペリカンが命を落としている。現時点の証拠からは飢餓が原因だと示唆されるが、餌(通常はニシン、カタクチイワシなどの海面付近を泳ぐ魚)は豊富にある。この種は米国東部の大西洋沿岸にも生息しているが、同様の傾向は見られない。 「理由はわかりませんが、(西海岸のカッショクペリカンは)必要な餌を見つけられていません」と米水族館テーマパークのシーワールド・サンディエゴで動物保護プログラムの動物学芸員を務めるジェニー・スミス氏は話す。「もしそうであれば、彼らはほかの場所で餌を探していることになり、内陸や珍しい場所で見つかっている理由の説明になるかもしれません」 4月下旬、野生動物のリハビリ施設には、ペリカンが住宅の裏庭や駐車場などの珍しい場所で目撃されたという報告が寄せられるようになった。その多くが不可解な行動を取り、 不活発や無反応、あるいは衰弱しているように見えたという。 こうしたペリカンを保護した後、野生動物の専門家はトリアージ(治療すべきかどうかの選別)を行う。「脱水や昏睡(こんすい)、低体温の状態にあり、けがをしていることもあります」とスミス氏は話す。「できる限りのことはしますが、やって来たときにはもう手遅れという場合もあります」 弱ったカッショクペリカンには若い個体もいれば、完全に成長した個体もいる。成鳥は大きなくちばしと翼をもち、海に飛び込んで餌を捕まえるのに適した体つきをしている。カッショクペリカンは20メートル近い高さから水中へ急降下することで知られ、40年生きる個体もいる。 カッショクペリカンは2009年に、数が回復したため米連邦政府の絶滅危惧リストから外された。専門家たちは今、カッショクペリカンが再び大量死している理由を調査している。