参加劇で裁判員制度学ぶ 松本の上土劇場で「極刑」上演
市民が刑事裁判に参加する裁判員制度への理解を深めてもらうことを目的とした劇「極刑」が16日、上土劇場(長野県松本市大手4)で上演された。観客から抽選された裁判員役6人が強盗殺人の裁判に参加し、「死刑」か「無期懲役」かの判決を担った。裁判員に選ばれた人は「胃が痛かった」などと命を左右する決断の重さを口にしていた。 松本市内の工場経営者夫妻が元従業員に殺され、金を奪われた事件の裁判劇で、市民キャストが演じた。被告や被害者の娘が実際の裁判と同じに登場し、裁判員の質問を受けた。 昼の公演では、被害者の娘に「死刑を望みますか」などの率直な質問も出ていた。検察官が「死刑」を求刑し、弁護士が情状を訴えて結審した後、裁判員が別室で判決内容を話し合った。殺意の有無は「あった」と多数決で決めた後、死刑にするかの話し合いが行われた。「長い時間をかけて罪を償ってほしい」などの「無期懲役」を望む声に対し「それで反省するだろうか」などの疑問も投げ掛けられた。最後は多数決で1人以外は「無期懲役」を望み、会場の観客がスマホで投票した結果も「無期懲役」となり、判決が決定した。 裁判員役の清水中学校3年生は「『被告の命をもって償っていきたい』という弁護士の言葉で無期懲役を決めた。裁判員に選ばれたら、自分の思いを大切にしたい」と語った。総合演出の弁護士・今井秀智さん(64)=神奈川県=は「裁判の判決は人によって変わることを知ってほしい」と願っていた。 信州松本うらまちレジリエンス協議会(林勇次会長)が主催し、2回公演で380人が参加した。 観客から選ばれた「裁判員」の前で行われた強盗殺人事件の「裁判」
市民タイムス