暗号資産業界の求人市場、2024年の5大ポイント【米国版】
生き馬の目を抜く求人市場において、個人的なネットワークやつながりを活用することはこれまで以上に重要となっている。本稿では、暗号資産(仮想通貨)の求人市場では何が起きているのか、そして 2024 年に自分自身や自分の会社をどのように位置づけることができるかを、ザ・クリプト・リクルーターズ(The Crypto Recruiters)CEO、エミリー・ランドン(Emily Landon)氏が説明する。
1. 暗号資産業界の求人市場は活況
この見出しは、控えめな表現かもしれない。リンクトイン(LinkedIn)に最近投稿された暗号資産プロダクト・マーケティング・マネージャーの求人には、わずか5日間で500人以上の応募があった。 Web3がより主流になるにつれて、暗号資産およびブロックチェーン企業での職務に対する需要が信じられないほど増加している。この需要は今後も増え続ける一方なのに加えて、各企業がチームを拡大しているという前向きな傾向も見られている。求人掲示板の クリプト・ジョブ・リスト(Crypto Jobs List)には、2024年7月に約600件の新たな暗号資産・ブロックチェーン関連の求人が掲載された。 この異様な求人市場は何が理由となっているのだろうか。弱気相場が長らく続いた後に、業界の専門家(乗り切った人々)の多くが全力を出しているのかもしれないし、生産性と資金が増加している中で再び腕の見せ所だと息巻いているのかもしれない。また、暗号資産やブロックチェーンの実装が増えていることも、業界で働きたい人の供給増加に寄与している。 前述のように、FTXスキャンダル以降、長年暗号資産業界への投資を控えてきた資金がこの分野に流入したことで、創業者が必要とする優秀な人材を雇う理想的な機会ができた。
2. プロダクトやマーケティングの人材不足
暗号資産業界の X(旧ツイッター)では、プロダクト部門とマーケティング部門に本当の意味で有用な人材が明らかに足りていないことが口にされている。 新しい業界におけるプロダクトとマーケティングの課題とは、時間を費やして自らの価値を証明する候補者の質の低さだ。この分野には「実行者」として若くて意欲的な人材がたくさんいるが、そもそも次の水準に到達できない場合、彼らが仕事をやり遂げていることをどうやって証明できるだろうか。 また、企業は技術的な知識よりも経験を重視するため、他の業界から多くのプロダクトやマーケティングの専門家が流入しており、技術面でのスキルにギャップが存在する可能性もある。 自身の役割を全うする評判が高く信頼できる人材を見つけるのに、採用担当者や、会社を立ち上げようとするチームは苦労している。 プロダクトとマーケティングについて、イノベーションの能力と戦略を証明するために開催されるコンテストがあるかもしれないが、携える実績がない中で、どうやって自身が長期にわたり実行可能だと証明できるだろうか。これにより悪循環が生まれ、各企業の幹部は他の業界から人材を選り好みする理由となる。