なぜ日本はスコットランドとの死闘を制して8強を決め歴史を塗り替えることができたのか?
スクラムハーフのグレイグ・レイドローゲーム主将は、記者会見で「ホームアドバンテージに負けたか、実力で負けたか」と聞かれ「日本代表は高い能力を持っている。それを私たちは真摯に受け止めていかなくてはいけない」。グレガー・タウンゼントヘッドコーチも、日本代表を「ボールを持っていた時に非常にいいプレーをしました」と、たたえながら自分たちのパフォーマンスを嘆いた。 「短い中日。チャレンジが課されるのはわかっていた。最初はいい意気込みで、相手にプレッシャーもかけられました。しかし、エラーで向こうへボールを与えてしまった。クオリティが高いチームはそういうチャンスを掴みます。最後の場面では、我々がもっと精度を高めなくてはいけませんでした」 キックオフを控える両軍は、前日に東北、関東、東海地区を直撃した台風19号の被災地へ黙とうを捧げた。日本代表フランカーのリーチ・マイケル主将は「この試合のために床を拭いたり水気を取ったりと努力をした人がいるのも知っている」と、被災した人々へ思いを巡らせた。 0-7と先制された日本は見事なトライラッシュを繰り出す。 まずは前半17分。ハーフ線付近右のラインアウトからリーチが球をもらい突進。敵スタンドオフのフィン・ラッセルを接点に巻き込み勢いを作る。 ここからは各人の妙技を攻撃に組み込み、フェーズを重ねた。フッカーの堀江翔太は、相手を引きつけながら深い角度のパスを放ち、スタンドオフの田村優は前後に立つフォワード陣と連動して相手防御網を後退させにかかる。最後は左中間のラックから展開だ。スクラムハーフの流大は、防御網へ鋭角に駆け込む堀江の背後へパス。それをトップスピードで受け取ったのは、アウトサイドセンターのラファエレ・ティモシーだった。 ラファエレがパスを出した大外では、フリーになったウイングの福岡堅樹が「チーターより速い」と評される快足を飛ばした。タックルで倒されたが、右に並走していたウイングの松島幸太朗にポップパス。そのままフィニッシュが決まり、田村のコンバージョン成功で7-7と同点に追いついた。 勝ち越し点は25分。敵陣10メートル線付近右中間で、松島が相手の大型選手の隙間を突破。チームが同22メートル線前で球を揺り動かした後、同左中間で球をもらった堀江が、身体を回転させながら防御を巻き込み、パスを出す。防御網を破った。ここから日本代表は、タックルされながらつなぐオフロードパスを1本、2本とつなげ、最後は左プロップの稲垣啓太がグラウンディング。ゴール成功でスコアを14-7とした。 日本代表は続く39分にも、ラファエレのゴロキックを追った福岡のトライなどで21-7とリードを広げた。 福岡は後半2分にも鋭く飛び出しながらの攻守逆転を自らのトライと化し、この一戦のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝く。 「日本ラグビーの歴史を変えるために、全てを捧げてきました! 本当に最高の瞬間です! ありがとうございました!」