評価すべき日大第三者委の中間報告も「監督公募を知らされていなかった」
同委員会は「今後、日大アメフト部が再生を図っていくためにはこのような不当な圧力を掛けたものが完全に排除された状態で再生が図られていくことが必要。必要な情報は今後の調査の過程で大学当局に提起し、あるいは大学当局の独自の情報と合わせて大学当局に適切な処置をお願いしていくつもり」と言うが、不安なのは、あくまでも「お願い」であり、具体的な排除の突っ込んだ方策が打ち出せていないことにある。 この人物は、実は、今年のライスボールではコーチ登録されており、当日のパンフレットのスタッフ欄では、すでに辞任した森琢ヘッドコーチより上に名前が書かれている。つまり内田前監督の次にチームの重要なポストにあったわけだ。 勝丸委員長は、この人物が、今後の監督、コーチ人事について「一切関わってはいけないと思っておりますし、また影響力のある地位にいるべきではない」とまで断言したが、名前も公表することなく、具体的な方策がなければ、チームの根本的な再建への障害は取り除かれたことにはならない。 また、この口封じを図った人物は、田中理事長の懐刀と言われる立場にある。そうなると、田中理事長からもヒアリングを行い、日大のガバナンスを再考する上で、日大の実際の意思決定のシステムや権力構造にまでメスを入れなければ、完全な排除などできない。だが、その点については「ノーコメント」「クラブ運営、教育は学長、理事長は人事、経営でラインが違う」「これから調査する」と、勝丸委員長は、なぜか曖昧な返答に終始して、今後への不安を残した。田中理事長の握る人事が、この黒幕を存在させ、次期監督決定へ強い影響力を及ぼしていることまで調査が行き届いていないのか。それとも、第三者委員会が踏み込む部分ではない、と考えているのか、そこも疑問だ。 その不安を如実に表す例として、この日の会見では、前日の28日に締め切られた監督、コーチの公募について、第三者委員会が知らされていなかったという“とんでも事実”も明らかになった。 「私は監督公募について聞いておりませんでした。そういうことじゃ困る。改善をやっていく上では第三者委員会にも、きちんと連絡をした上で連携して考えていかなければならないのではないか、ということを大学へ申し入れた」と勝丸委員長。 日大は、なぜ第三者委員会へ報告をしなかったのか。その理由を考察すれば、口封じ工作をした人物の関与を疑わざるをえない。第三者委員会の意見を聞き、正当な公募になるとまずい事情でもあったのだろう。 その上で委員会は今後の選考作業の進め方にこう釘を刺す。 「日大アメフト部の再建は内田氏、井上氏は無論、不当な介入を行った日大関係者の影響力が完全に排除された状態で行わねばならない。日大が行っているアメフト部の監督公募については外部の方を交えた公平公正な選考委員会を設け、選手、父母会、OBの方々の声も反映させながら透明感を持って選考手続きが進められることを望む。まず委員会を透明にすべきです。父母、OB、外部の人間を入れなければならない」