社内ではまだ「マスク着用義務」があります。客先に行くわけでもないのに「強要」はできるのでしょうか?
新型コロナウィルス感染症の影響により、マスクの着用が一般的になりました。ただ、時折マスクの着用を他人に強要することが問題になっています。 例えば、以前飛行機でのマスク拒否事件がありましたが、これに関連して「会社でマスク着用を強要するのもおかしいのでは?」と考える方もいるはずです。 そこでこの記事では、現在のマスク着用に関する一般的な考え方をご紹介した上で、会社でのマスク着用について解説していきます。
マスクの着用は個人の判断が基本となる
厚生労働省では令和5年3月13日以降、マスクの着用に関して「個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本」であると発表しています。 ただし、基礎疾患を有する方や高齢者、妊婦など重症化リスクの高い方への感染を防ぐため、以下のような場面では現在でもマスクの着用を推奨しています。 ・医療機関を受診するとき ・医療機関や高齢者施設などへ訪問するとき ・混雑した電車やバスに乗るとき(通勤ラッシュ時など) マスクを着けるか着けないかは周りに強要されるものではなく、基本的には個人の判断で決めていいというのが一般的な考え方といえるでしょう。
ただし、事業上の理由がある場合はマスク着用を従業員に求められる
マスク着用の有無は個人の判断に委ねられていますが、会社が業務命令としてマスク着用を従業員に求めることは許容されます。 ただし、事業者が従業員にマスク着用を求められるのは、感染対策上または事業上の理由がある場合のみです。例えば、高齢者など重症化リスクの高い方が多く入院・生活する医療機関や高齢者施設などの従事者の場合は、マスクの着用が求められることもあるかもしれません。 また、会社には労働者に対して安全配慮義務があるため、マスク着用がこの義務を果たすものであれば、拒否することは難しいと考えられます。 つまり、マスクの着用については客先に行くか行かないかではなく、「感染対策」などといった事業上の理由があるか否かが、強要できるかどうかの分岐点となるといえるでしょう。