「みんなノリノリで演じていた」映画『ゼンブ・オブ・トーキョー』熊切和嘉監督インタビュー。日向坂46四期生との共演を語る
現代女子高生をリアルに描くためのインタビュー
―――正源司さんが演じた主人公・池園優里香は、「声の雰囲気がぴったりだった」とおっしゃっていたそうですが、冒頭とラストのモノローグを録る際、どのような演出やこだわりがあったのか教えてください。 「あれは現場でもオンリーを録っていて、それなりに良いものが録れてはいたんですが、編集しているうちに何か物足りなくなってきて、もう一度アフレコの時に録り直したんです。 理由としては、池園が少し成長した後に過去を振り返って話しているような雰囲気にしたかったからです。撮影を終えて、少し時間が経ってからの方が、正源司さんも青春を思い返すような気持ちで演じられるかなと思いまして」 ―――少し大人になって、周りを広く見渡せるようになった感覚ですね。本作に登場する11人の女子高生たちは、推しのグッズを手に入れるために友達と協力したりと、現代の女子高生らしい姿がリアルに描かれていると感じました。このような設定は、インタビューの際にお話を伺った内容を参考にしているのでしょうか? 「インタビューで伺った内容も反映されていると思いますが、脚本を手がけた福田さんがとても個性的な方で、特にゲームや漫画などに関しての知識は圧倒的なんです。 実は、僕自身はそういった分野にはまったく疎くて、福田さんを心の中で先生と慕い、色々と教えてもらいました。そのため、本作には福田さんの個性が強く表れていると思います」 ―――脚本を手がけた福田さんとは今回が初めてのお仕事だったと思いますが、熊切監督の思いや考え方どのように共有されたのでしょうか? 「これまで自分が取り組んできた作品とは全く違うタイプで、特に会話劇はほとんど経験がなかったので、難しそうだなと思いつつも、最初の脚本を読んだときからとても面白いと感じました。 それぞれのキャラクターが割と不器用と言いますか、失敗を繰り返すところも印象的で、実は皆が負けていく、いわば『負け戦』のような展開が個人的にとてもノレたところではあります」