「シャネル」ジュエリー部門ディレクターのパトリス・ルゲローが死去 数々のメゾンのアイコンをジュエリーで表現
「シャネル(CHANEL)」のファインジュエリー部門のクリエイション スタジオ ディレクターを務めるパトリス・ルゲロー(Patrice Leguereau)が11月13日、死去した。53歳だった。彼は、フランス・エコールブール国立工芸学で工芸と彫刻を、国立宝石学校で宝飾について学んだ。「カルティエ(CARTIER)」で6年間、「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」で11年間、ジュエリーデザインを手掛けた後、2009年にシャネルに入社し、ファインジュエリー部門のクリエイションスタジオを率いてきた。
メゾンの数々のコードをハイジュエリーに昇華
ルゲローが手掛けた印象に残るコレクションは、ガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)がデザインしたダイヤモンドのハイジュエリーコレクション誕生90周年を記念した“コレクション 1932”と、香水“シャネル No.5”の100周年を祝う“コレクション No5”だ。“コレクション 1932”は、コメット、月、太陽という天体がモチーフのオリジナルを再解釈した81点から構成。1点ものの“アリューリュ セレスト”ネックレスは、約55カラットのフルーサファイアが使用された。“シャネル No.5”では、香水のボトルや残り香を123点ものジュエリーで表現した。55.55カラットのDカラー、フローレスのダイヤモンドを使用したネックレスは、ヴァンドーム広場18番地にあるアトリエが併設されたファインジュエリーの本店に収められている。他にも、ルゲローは、カメリアを始め、ライオンやパール、ツイードなどメゾンのアイコンの数々をジュエリーとして表現してきた。最新コレクションでは、同じくメゾンと深いつながりがあるスポーツをテーマに、希少性の高い宝石とカーボンファイバーやアルミニウムを組み合わせたエレガンスとパフォーマンスが融合したジュエリーをそろえた。
ルゲローは、マドモアゼルの先見の明へのオマージュを元に、想像を超える情熱でクリエイションを手掛けてきた。彼が手掛けたハイジュエリーコレクションの数は26。ファインジュエリーでも、“ココ クラッシュ”に代表される作品を多数生み出した。シャネルは「彼の指揮のもと、ジュエリーのクリエイションスタジオは成長し、多くの才能を生み出し育ててきた。彼はとても繊細で謙虚、親しみやすくチームワークを大切にする人柄だった。彼がメゾンに残した功績は偉大で、決して忘れられることはない」と述べている。