「国際試合」に強いのは誰か…『プレミア12』で2連勝!ガチな野球ファンが注目する”意外な視点”
代表戦の希少性と若手の先物買い
野球ファンを喜ばせているのは、シーズンオフに入るタイミングでの開催に加えて、日本代表戦に対する希少性の高さ。もともと日本代表戦が盛り上がるサッカー、バレーボール、バスケットボール、ラグビーなどに比べて野球の国別対抗戦は極端に少なかっただけに、まだまだ希少価値の高さを感じられるのかもしれない。「大谷翔平の試合しか見ない」という人はさておき、少なくともNPB12球団のファンは野球に飢えている状態だけに、侍ジャパンが早期敗退しない限り一定の盛り上がりは期待できるはずだ。 そしてもう1つ目につくのは、「若手のハツラツとしたプレーや成長する姿を見るのは楽しい」というポジティブな声。侍ジャパンには「今すぐメジャーで通用する」と言われるドラゴンズ・髙橋宏斗(22歳)、ついに覚醒したファイターズ・清宮幸太郎(25歳)、名門の四番を期待されるタイガース・森下翔太(24歳)などの若手スターがそろっている。 その他でもWBCで活躍した戸郷翔征(24歳)、大勢(25歳)、源田壮亮(31歳)、牧秀悟(26歳)。日本シリーズMVPの桑原将志(31歳)、スピードスターの五十幡亮汰(25歳)、パ・リーグ最多安打の辰己涼介(27歳)ら実力者ぞろい。 また、今大会は2026年に行われる次のWBCにつながる試金石でもある。「ここで活躍する=国際試合に強い」という評価が得られるだけに、「推しのチームの選手を応援する」だけでなく「若手選手を先物買いする」という楽しみもあり、試合のたびに選手の名前がXのトレンドランキングをにぎわせるのではないか。
主要大会3連覇中の侍ジャパン
大会前に情報番組を手がけるスタッフとスポーツ局のテレビマンに話を聞いたところ、「戦いが進むにつれて接戦になり、盛り上がっていくのではないか」という声で一致していた。 「負けたら終わり」の戦いになるほど1点にこだわるプレーが増え、点差を離されない采配が優先されやすくなる。また、侍ジャパンのメンバーは長距離砲よりシュアな巧打者タイプが多いことも接戦が多くなりそうな理由の1つ。つまり勝っても負けても接戦になりやすく、終盤まで盛り上がる試合が続く可能性が高い。 実際、最近の主要国際大会を振り返ると、2021年の東京五輪は全5試合が3点差以内で、ワンチャンスでの逆転があり得る接戦。そのうち3試合は侍ジャパンの逆転勝ちであり、5戦全勝だったものの紙一重の勝負だった。 2019年のプレミア12でも、スーパーラウンド以降の5試合はすべて2点差以内の接戦。今大会初戦のオーストラリア戦も7回表までは2点差の接戦であり、オーストラリアが2本の豪快な本塁打を放った一方、侍ジャパンは10本の単打と3本の2塁打を積み重ねてコツコツと加点して勝利をつかんだ。 いずれにしても「侍ジャパンが勝つためには粘り強く接戦を制していかなければいけない」のは間違いなさそうであり、それが国際大会の難しさなのだろう。オープニングラウンドの序盤は静かなスタートになったとしても、勝ち進むたびに接戦が増えて盛り上がりが増し、負けられないスーパーラウンドの3試合と決勝戦はかなりの熱狂が期待できるのではないか。 侍ジャパンにとって多少ラッキーなのは、現在ワールドカップ最終予選を戦っているサッカー・日本代表戦とのバッティングが回避されていること。15日のインドネシア戦は21時キックオフで、プレミア12の「日本vs.韓国」と2時間ずれているほか、地上波の放送がない。さらに19日の中国戦には侍ジャパンの試合がなく視聴者を奪われるリスクはゼロ。 野球の主要国際大会では、2019年のプレミア12、2021年の東京五輪、2023年のWBCと侍ジャパンが3連覇中だけに、日本人の中には「野球は世界一」「野球では負けられない」というプライドが芽生えている人もいるだろう。何より勝ち進むことがそんなプライドをくすぐり、大会そのものを盛り上げる要素の1つになるはずだ。 ……・・ 【さらに読む】『大減俸の田中将大はどうなってしまうのか…数々の進路があるも、どれも“ビミョー”な現状』
木村 隆志(コラムニスト/コンサルタント)