「とても先進国とは言えない」日本、世界最底辺の男女格差 世界125位…特に深刻な政治分野、岸田政権の「女性活躍」は本気?
政治に続いて、経済分野も日本は男女格差が大きいとWEFは指摘している。その要因は女性役員や管理職の少なさ、所得面の格差だ。経済協力開発機構(OECD)の比較によると、日本の女性役員比率は15・5%。この数字の低さは、日本を除くG7諸国の平均(38・8%)やOECD諸国の平均(29・6%)と比べるとよく分かる。 小倉将信男女共同参画担当相は、世界から取り残されている日本をこう表現した。「日本がカメの歩みをしている間に、寓話と違ってウサギである各国との差は開くばかりだ」 小倉さんは経済分野での女性登用を急ぐ必要性を再三強調してきた。世界の金融市場では、投資判断の基準として企業の多様性を重視する流れが強まっており、日本企業の競争力低下を招きかねないとの危機感もある。 政府は現状を変えるべく、今年の「女性版骨太の方針」で、東京証券取引所の最上位「プライム市場」の上場企業について、2030年までに役員の女性比率を30%以上とする目標を明記した。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの矢島洋子主席研究員によると、女性の管理職登用に関しては、女性活躍推進法が施行された2016年当時と比べ、近年は政府の関心が高くなかった。企業側にも、多様な人材を生かす経営上の意義が浸透しておらず「女性の管理職が増えることが組織にとって重要なことだと理解している経営層は少ない」と指摘する。 ただ、2023年度からは、従業員300人超の企業に義務付けられた男女間賃金差の開示も本格化している。矢島さんは政府にこう注文を付ける。 「賃金差の公表を形式で終わらせることなく、国が分析の好事例を取り上げ、格差解消への道筋を示すべきだ」 ▽教育分野の平等度が政治・経済の格差に影響 G7各国の中にも、以前は男女平等度が高くない国もあった。WEFがジェンダー・ギャップ指数の公表を始めた2006年当時、フランスやイタリアは日本と同水準だった。しかし、両国はその後、さまざまな制度を導入して右肩上がりに改善し、日本だけが低迷し続けている。