あの「黄金世代」から5年…東海大まさかの落選 「留学生級」スーパーエース抜きの東農大は1秒差で涙…箱根駅伝“大波乱の予選会”はなぜ起きた?
古豪・明大も7年ぶりに本大会出場を逃す
波乱は他にもあった。 古豪である明治大の予選落ちだ。 近年は予選会出場が常例になりつつあるが、過去3年は1位、2位、2位とまったく危なげなく通過してきた。だが今回はついに選外(12位)に漏れ、7年ぶりに本大会出場を逃す結果となった。 エース格の尾崎健斗(4年)や森下翔太(3年)、今季好調の東原豪輝(4年)らが出場するも、みな3桁の順位と奮わず。前回の箱根で好走した綾一輝(2年)、鈴木祐太(4年)の両名は故障でスタートラインに立つことすら叶わなかった。 やはり、チーム状態が万全でなかったことが影響したのか。園原健弘競走部監督が苦しい台所事情を説明する。 「ベストメンバーは組めてないんですけど、それはどこも同じでしょうからね。うちが走ってほしい選手、綾とか鈴木、ああいう主力をきちんとスタートラインに立たせてあげられなかった、チームの仕組み自体が問題ですよね」 周囲の期待が大きいだけに、うまくいかなかったときは批判の声も聞こえてくる。だが、それに対しては一切の言い訳をしなかった。 「去年から色々手は打っているんだけど、結果が出ないのが問題ですよ。はっきり言って、力不足。周りが言うように、良い選手を預かっているんだからね。結果が出なかったことへの批判は、甘んじて受け入れるしかありません」 抜本的な改革を今後、考えていくつもりだという。 速さより強さ。この厳しい気象条件下では、気持ちを含めた強さの方がより求められたのかもしれない。 今年の予選会は立教大がトップ通過を果たしたが、そのタイム“10時間52分36秒”は前回であれば25位相当でしかない。各チームが暑さの影響を受け、そこを上手くしのいだチームが上位に来た印象である。
1万m27分台のエースが失速…駿河台大の誤算
前回の箱根に出場して18位。2年連続の出場が期待された駿河台大も、今回は“11時間09分10秒”の16位と結果を残せなかった。 チームには箱根の経験者が9人残り、さらなる飛躍も期待されていたが、主力の失速が相次いだ。 「とくに東泉(大河・3年)と古橋(希翁・2年)ですよね。1万m27分台の東泉が70分かかった。もう一人のエース格である古橋も69分台。彼らがエースらしくせめて65分台でまとめてくれていたら、それだけで9分タイムが良くなりますからね。そしたらうちは行けてたんですよ」 徳本一善監督がこう分析するように、スピード自慢の選手が本来の速さを発揮できなかったところに敗因があったようだ。 「まあ、選手も初めての経験で、この暑さの影響はあったと思いますよ。攻めた結果だし、そこは評価してあげたい。僕だって、普通にやれば62分台が出る練習はできているって、自信を持って送り出したので。 ただ、それを言い訳にしたら吉田(礼志・4年)君(中央学院大のエースで、今回の日本人トップ)はどうなのってなる。あのクラスを目指すうちの選手にとっては、良い勉強になったと思います」 苦い経験をすることでしか得られない、貴重な学びというのがあるのだろう。 わずか1秒差に泣き、残り10メートルに泣き、力及ばず目を腫らした経験が、彼らをきっと強くするはずだ。 徳本監督を中心にした話し合いの輪は、悔しさが後から後から溢れ出てくるのか、強い日射しの中でもなかなか解けなかった。
(「箱根駅伝PRESS」小堀隆司 = 文)
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