92歳・広岡達朗が<24年シーズンと阿部巨人>を一刀両断。「私に言わせれば、蓄積された戦力がある以上ダントツの独走でなければ…」
2024年9月、阿部慎之助新監督率いる読売ジャイアンツが、4年ぶり39度目のセ・リーグ優勝を果たしました。大混戦となった2024年シーズンでしたが、巨人OBで野球解説者の92歳・広岡達朗さんは「巨人が強くなったのではない。他がだらしないのだ」と厳しく評価しています。そこで今回は、広岡さんの著書『阿部巨人は本当に強いのか 日本球界への遺言』より一部引用、再編集してお届けします。 【書影】4年ぶりリーグ優勝“新生巨人”の1年目を92歳・大御所OBが激辛総括!広岡達朗『阿部巨人は本当に強いのか 日本球界への遺言』 * * * * * * * ◆大混戦の2024年シーズン 私は毎年、プロ野球が開幕すると、マスコミからシーズンの順位予想を聞かれる。 そんなときは、各チームのキャンプ内容を見て展望を語ることにしている。 そして2024年のセ・リーグは「連覇を目指す岡田阪神と、阿部慎之助を新監督に迎えた巨人が先頭を走り、2年目を迎える新井貴浩監督の広島がそこに絡む展開になるだろう」と見ていた。 ところが阪神、巨人が序盤からもたついて、交流戦が始まるまでは首位・阪神から2位・広島、3位・巨人まで2ゲーム差。4位・中日、5位・DeNAも阪神から4.5ゲーム差にぶら下がって大混戦になった。
◆接戦の実態 順位だけを見ると私の見立て通りだったが、楽天が20年目にして初優勝を飾った交流戦の終了時点では、首位・広島を阪神と巨人が3ゲーム差で追っていたものの、前半戦を終えると首位・巨人、2位・広島、3位・DeNAのゲーム差が最大2.5。 4位・阪神は今季ワーストの26イニング無得点がたたって直前1週間を2勝4敗で折り返し、首位との差が3.5ゲームに開いて失速した。 しかもこの間、日替わりで首位が交代する接戦だった。といえば聞こえはいいが、実態はどのチームも拙攻拙守が多く、プロ野球とは思えないお粗末な試合ばかりだった。 ちなみに前半戦のパ・リーグは、ソフトバンクが2位のロッテに10ゲーム差をつけて独走。3位・日本ハムが追い、前年までリーグを3連覇していたオリックスは5位に転落した。 オリックスの敗因は、絶対的エースだった山本由伸が大谷翔平を追ってドジャースに移籍したからだ。2023年にレッドソックスに移籍した主砲・吉田正尚に続いて、投打の大黒柱が抜けるとこうなる。
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