クマが炭火で鮭を焼いている!?住宅街の一角、 絵本から抜け出したような光景に衝撃 実は…鮭弁当だけ販売する、話題のお弁当屋さん
住宅街の一角に、真っ赤なキッチンカーの傍らで鮭を焼いているクマがいる。この界隈ではお馴染みの、鮭弁当だけを売るお弁当屋さん「森のコロコロ」だ。 【写真】着ぐるみのクマが、炭火で鮭を焼いてくれます なぜクマ? なぜ鮭弁当だけ? クマの助手を務める「森のお嬢さん」にお話を伺った。
クマのマーチーが森で仲良くなったお嬢さんと一緒にキッチンカーを始めた
大阪市阿倍野区と東住吉区の境界あたりに位置する、JR阪和線「南田辺」駅西側の住宅街。遠くからよく目立つ真っ赤なキッチンカーの横で、クマが炭火で鮭を焼いている姿はインパクト抜群だ。 クマの名は「マーチー」といい、推定5歳のオス。キッチンカーのお弁当屋さん「森のコロコロ」のオーナーだ。お母さんはツキノワグマ、お父さんはヒグマだが、お父さんには会ったことがないという。 ある日マーチーは、森の中で落とし物を拾ってあげたご縁で、人間のお嬢さんと仲良くなった。 お嬢さんが話してくれる街の話を聞いたマーチーは、シティボーイならぬ「CITY BEAR(シティベア)」になろうと決意して山から下りてきた。 街で暮らしていくために小さなキッチンカー「マーチー号」でお弁当屋さん「森のコロコロ」を始めたマーチーを、森で仲良くなったお嬢さんこと「森のお嬢さん」が手伝っているという設定だ。
世の中が沈んでいるから楽しんでもらおうと…
以前は、ネットショッピングを運営する事業を、自ら営んでいた森のお嬢さん。コロナ禍の影響を受ける業種ではなかったものの、外出がままならず食事の確保にも苦労している人がいることを知って心を痛めていたそうだ。 「ボランティアに興味あって、食べられない人がいるなら、お弁当をつくってお配りしようかと考えたんです」 ところが保健所に問い合わせると、衛生管理者の資格が必要とのこと。 「だったら取るしかないって、資格を取ったんですよ」 資格を取得したら、お弁当をつくって配るという当初の考えに変化が出てきた。 「もともとお料理が好きだし、仕事にしようと決めました。世の中全体が沈んでいるときだったから、楽しんでもらえる内容はなんだろうって考えたときに、絵本に描かれるようなストーリーのあるお店があったら面白いんじゃないかという結論に至りました」 クマが好きだという森のお嬢さんは、クマありきで構想を練った。 パキスタンの自動車メーカー「SAZGAR」が製造するオートリキシャのキッチンカーを使うことにしたのも「運転席が開放されていて、クマが運転する姿が宣伝になる」と考えたから。 ちなみに、視界が確保されて運転能力に問題がなければ、着ぐるみで運転しても法的には問題ないそうだ。 「運転はもちろん鮭を焼く際にも、細心の安全管理を図っています」 この車種は、キッチンカーのサイズとしては小さいため、スペースが制限されて多くのメニューをつくれない。初めはハチミツを使ったスイーツを扱おうと考えたが、このサイズでは難しいことが分かった。次に考えたのが「クマといえば鮭」のイメージで、鮭弁当に決まったという。 「クマさんが何をしたら面白いかを考えたら、二択じゃないですか。ハチミツか鮭ですよね(笑)」