クマが炭火で鮭を焼いている!?住宅街の一角、 絵本から抜け出したような光景に衝撃 実は…鮭弁当だけ販売する、話題のお弁当屋さん
2年の準備期間を経て2023年12月に開店
キッチンカーで鮭弁当を販売すると決めて、クマありきのコンセプトと設定も固めた。開業資金も貯金から捻出した。しかし、ときはコロナ禍の真っ只中。キッチンカーを発注した工場が休んでしまい、作業は思うように捗らなかった。また、コンセプトが森のお嬢さん独自の発想で前例がないため、お手本になる同業者がいない。そんな事情も重なって、手探りと試行錯誤で道を切り拓きながら準備を進め、開店までに2年を要した。 そして2023年12月18日、満を持して「クマのキッチンカー 森のコロコロ」としてオープン。キッチンカーを「マーチー号」と名付けた。 メニューは鮭弁当一択とシンプルだから、食材は選び抜いたという。 鮭は北千島海域の沖獲り。沖獲りとは、沖合を回遊する若い鮭を流し網で漁獲する漁法だ。この方法で獲られた鮭は流通量が多くないため、スーパーの店頭で見かけることはないそうだ。 その鮭を炭火で焼き、製法は企業秘密のタレを仕上げに塗ったら、マーチー号の中で炊く「どんぐりご飯」と合わせる。 どんぐりに行き着いたのも「クマが食べるから」という発想だが、縄文時代には人が日常的に食べていた食材だ。もちろん公園に落ちているアクの強いどんぐりではなく、食用のどんぐりを使う。味付けはマーチー独自のレシピだそうで、栗よりも歯ごたえがあってほんのり甘みを感じる。 そして付け合わせは、炭火で焦げ目がつくまで焼いた南高梅の梅干し。筆者の感想だが、火を通すことで酸味が和らいで甘みが出るようだ。 この3つを、抗菌作用があるという竹皮に包んで提供してくれる。 取材中、すでにリピーターになっているというご近所さんたちが、入れ代わり立ち代わり訪れていた。 そして今、百花蜜で味付けをしたポップコーンを開発中だそうで、「完成しだい販売します。商品名はDON'T WORRY BEE HAPPYになる予定です」とのこと。 「マーチーが間違えて一緒に詰めちゃった」というミツバチは、フランスの伝統菓子「ドラジェ」で出来ているという。 開店して3か月。調理にも接客にも慣れてきたので、今後はもう少し人通りの多いところで販売したいという。 「お客さんが笑顔になってくれる場所を、想像しているだけで楽しくてワクワクします」 ネットショッピング事業は現在も規模を縮小して並行しているそうだが、ゆくゆくは店舗を構えて「森のコロコロ」に一本化したいと語る、マーチーと森のお嬢さんだった。 ◇ ◇ 【森のコロコロ】 出店日・時間/日曜・水曜・金曜のAM11:30から売り切れしだい終了(雨天中止) (まいどなニュース特約・平藤 清刀)
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