贈与税がかかることを知らずに母親が「500万円」を私の口座に送金したそうです。すぐに全額返金したら贈与税を”払わずに”済みますか?
親が子どものためにと善意でお金を送金したら贈与税が発生するケースがあります。贈与税は受け取った側の子どもが支払うため、できるなら返金したいと考える方もいるでしょう。 贈与が成立するには条件があるため、状況によっては贈与とみなされずに返金できる可能性もあります。今回は、贈与が成立するタイミングや、贈与と判断されたときにおける税額の計算方法などについてご紹介します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
贈与はどのタイミングで成立する?
民法第549条では、贈与が成立する条件として「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」としています。つまり、お互いに贈与に関する合意があれば、法的にも贈与の対象となるでしょう。 例えば、母親から500万円を送られた際に「母親から送ったことを伝えられ、自分も送られたことを認知していた」場合は贈与とみなされる可能性があります。しかし、母親が一方的にお金を子どもの口座へ送り、子どもが気づいて送られたお金を使用せずに全額返金した場合は、「お互いに贈与に関する合意がある」という条件を満たしていません。そのため、贈与とはみなされない可能性もあるでしょう。 ただし、送られたお金を使用した場合は、贈与されたことを理解したうえでお金を受け取り使ったことになるため、贈与が成立します。お金を送られたものの不要なときは、使わずに返金したほうがよいでしょう。 贈与とみなされる場合、金額によっては贈与税の課税対象です。もし課税対象にもかかわらず放置していると、追加で税金が課されるケースもあるため、贈与かどうか分からないときは専門家の方や税務署へ相談しましょう。 ■贈与契約を解除できるケースもある 民法第550条によると、書面を通じたものでない贈与契約を解除できるタイミングは、贈与の履行が終わっていないときです。贈与の履行とは、基本的に財産を受け取ることを指します。 そのため、もし母親と500万円の受け渡しをする口約束をしていた子どもが、お金を受け取る前に話し合って贈与をなかったことにした場合は、履行する前のため贈与契約を解除できる可能性があるでしょう。