国民の生活に「情報が勝手に入ってくる」 JFA宮本会長が目指す日本サッカー未来像【独占インタビュー】
サッカーの情報を「取りに行く」から「自然に入ってくる状態に」
報道陣だけではない。サポーターも日本代表のユニフォームを掲げてピッチを訪ねた。なかにはサンフレッチェ時代の森保一監督や、日本代表の名波浩コーチのシャツを着用している現地ファンもいた。インドネシアでは自国だけでなく、欧州やJリーグの関心も高い。街中にサッカーの広告が貼られ、レストランでは試合の映像が流れる。この“熱”の高さには日本国内でも注目が集まった。 もちろんインドネシアだけではない。欧州や他国も地域に根付いたサッカーファン、サポーターが日常を彩っている。 「この間、Jリーグアウォーズに行った時、各クラブのサポーターの方たちが熱心に(現地へ)来場している状態を見ました。これはJリーグが30年かけて積み重ねてきた素晴らしさ。あのシーンを切り取って見ているとJリーグはすごく成功している、日本においてサッカーが大きなものになってきていると感じる。でも、普段からサッカーを見ることが多くない人たちはJリーグアウォーズの情報に触れることは難しい。さっきも言ったように(情報を)取りに行かないといけないというところから自然に入ってくるような状態に変えていけたら」 日本にも“改革”が必要。そのためには大きなきっかけがなければならない。やはり来年に迫る北中米W杯は歴史を変えるうえでも重要な大会となる。森保監督の下、ドイツ、スペインを倒したカタールW杯。だがベスト16で涙をのんだことは記憶に新しい。これまでベスト8の壁に阻まれてきた日本。森保監督率いる日本代表がW杯で目標にする「世界一」にどれだけ近づくことができるか。 過去には自身もW杯に2度出場。世界は選手として、指導者として、会長として追ってきた。だからこそ決意は固い。 「選手たちは本当にかなり目標高くやっている。そこを実現すべく、サポートをしていく。選手にも協力してもらいながら。メディアのプロモーションも含めてやれることをやっていきたいと思っています」 日本中でサッカーをプレーしたり、観戦に訪れている人たちだけではなく、サッカーに関心が高くない層を巻き込んでいければ、より大きな輪が広がる。「日本サッカーを大きなものに」――。これこそ、未来への扉を開くため、我々が口にしなければいけない“合言葉”だ。
FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi