“ミニドラ”が大流行 PGAツアー24年シーズンギア10大ストーリー(前編)
2. シェーン・ローリーのパター変更
シェーン・ローリー(アイルランド)はプロとしてのキャリアの大半で、オデッセイの有名な「2ボールパター」を頼りとしてきた。例を挙げると、これまで「ストロークラボ エクソ2ボール」、「ホワイトホット プロ 2ボールブレード」、「ホワイトホット OG 2ボール」といったモデルを使用した。 しかしながら、2024年のペア戦「チューリッヒクラシック」にて、ローリーは初めて実戦でマレット型のテーラーメイド「スパイダー ツアーZパター」を使用した。それは、同週に彼のパートナーだったマキロイが長年使用してきたパターに酷似していた。 結果的にこの変更は功を奏し、このペアは同大会を制覇した。優勝後、ローリーはGolfWRX.comに対し、パター変更について次のように述べている。 「僕はグリーン上で悪戦苦闘していたので、何か新鮮な見た目の物を必要としていたんだ。ネックの形状は異なるので、動きは若干異なるけれど、似てはいるんだ。白いラインが入っているし、マレット型だからね。だから、かなりドラスティックな変更というわけではないんだよ。練習グリーンで手に取ってみたら、見た目を気に入ったので、“一丁、これで試してみるか”という感じになったんだ」
3. フィッツパトリックの10年越しのアイアン変更
マシュー・フィッツパトリック(イングランド)はプロとしてのキャリアの大半を通じ、2013年に一般向けにリリースされたピン「S55 アイアン」を使用してきた。これで多くの成功を収めてきたことから、このクラシックなデザインのモデルを変更することは今後もないように思えた。 しかしながら、2023年の終盤にピン「ブループリント S アイアン」をテストし、変更することに踏み切った。そのまま今季序盤をスタートさせたが、2024年「全米オープン」でカスタムの“フィッツ”グラインドの施されたタイトリスト「T100 アイアン」に替えている。
4. JTの“ガソリンスタンド”パター
ここ数年でジャスティン・トーマスがパターを変更したのは、1度や2度のことではなかったので、トーマスがパターを変更したこと自体、必ずしも大きなニュースではなかった。しかし、その背後にあったストーリーは実に興味深いものだった。 スコッティキャメロンのパターフィッティング及び選手開発部長であるポール・ビザンコは、世界アマチュアランク2位にして、史上初めてPGAツアー・ユニバーシティ経由でのツアーカード(シード権)を獲得したゴードン・サージェントのために設計したカスタムパターを使用するようトーマスに勧めた。このパターは、クラウンに平行ラインと単一のドットというカスタムのアライメントが入ったものだった。 トーマスは「メモリアルトーナメント」の開催地であるオハイオへ向かう前に、サージェントへパターについてのテキストを送ると、2人は地元アラバマ州のガソリンスタンドで落ち合いパターの受け渡しを行なった。最終的にトーマスは、サージェントのパターにインスパイアされて設計された新しいプロトタイプのパターを手にしたのだが、このガソリンスタンドパター自体も、当然のことながら認知度の高いストーリーとなったのである。 トーマスは「ゴードンは、今は使っていないので要らないですし、もうすぐ車でそちらを通りかかりますよ、と送ってきたんだ。だから、まあ多少いかがわしい感じだったけれど、あれは後にも先にもナッシュビル郊外で行われた唯一のスコッティキャメロンパターの受け渡しだっただろうね」と述べた。