G-SHOCK最上級ライン「MR-G」に加わったフルアナログの薄型「MRG-B2100B」開発担当者が明かす”日本の技術へのこだわり“
文字盤は組子格子に着想を得てデザイン
–プレスリリースにも記載されていましたが文字盤は、金物を使わず木材を組み合わせる日本伝統の建築工法、木工技法のひとつ「木組(きぐみ)」の機能美から着想を得たそうですね。 石坂さん:組子細工が施された格子や障子など、明確な境界を作りながらもその仕切りの奥に気配を感じさせる作りが日本的だと考えました。とはいえ、そう簡単にことはうまく運ばず(笑)。ソーラーセルを隠しつつも十分に光を透過させるための形状と実際に成型するうえでの条件を両立させるため、かなりの試行錯誤がありましたね。文字盤は樹脂のインジェクション(=射出成形)で作るのですが、一般的なやり方では文字盤形状が歪んだり、穴周りにバリやウェルドライン(※)が出てしまうので、担当者は途方に暮れていたようです。※ウェルドライン:射出成型において金型内で溶融樹脂の合流部分に発生する線状の跡で、成型不良の一つ。
–すごく質感が高い文字盤なので、いまお話を聞くまで金属だと思っていました。 石坂さん:メタルでもできなくはないでしょうが、この文字盤を金属板から削り出すとなると、今の価格設定ではとても済まないでしょう(笑)。さらにいうと、G-SHOCKの耐衝撃性能を確保するには、質感を保ちつつ可能な限り軽量にしていきたいなど、さまざまな理由から樹脂製の方が有利なんです。あえて使わずとも、精密な加工技術と蒸着技術で質感の高いメタル表現ができますので。針はアルミ製ですが、シルバーのインデックスは樹脂に金属蒸着を施したものです。ちなみに、プロモーション動画でも出てくるのですが、ホームベースのような形状をした12時位置のインデックスはG-SHOCKのSHOCK REGISTロゴがモチーフで、白線に黒い縁取りのパーツのみ別体になっているんですよ。 –この文字盤を見ていて気になったのですが、左下の曜日表示の扱いについて社内で議論はありませんでしたか? 石坂さん:確かに色々とアイデアはありました。ただ、先ほどもお伝えしたようにデジアナ表示モデルがベースなので、曜日表示があった方がデザイン的にしっくり来たんですよね。どれぐらい主張させるか、というデザインバランスは検討を重ねましたが、最終的にこれぐらい目立たせることで落ち着きました。