タンスにあった12年前のボールはまだ使える?/ゴルフの疑問調査隊・ボールの賞味期限
PHYZの場合はどうなのか?
「PHYZの想定ユーザーは、ヘッドスピードが速くなく、スコアは100を切るかどうか。さらに打点がバラつき、球が上がらないゴルファーです。それらを補うために、全体的に軟らかく、スピン量が多くならないように設計しています。しかし経年変化で全体的に硬くなってしまうと、現行モデルと比べればドライバーでのスピン量は増えると思います。カバーも硬くなっているので、アプローチショットでのスピン量は減って、止まりにくいでしょう」(小松氏) つまり、PHYZの狙う性能とは真反対のベクトルに変化していくのだ。時間はかくも恐るべきものである。続いては、新旧PHYZボールを打ち比べていこう。
マシーンテストの結果はドライバーで約3ydダウン
まずは試打マシーンで試打検証。ドライバーを使い、初代と現行モデルをマシーンに打たせ、弾道計測器GC4でデータを取った。
2球ずつのデータをピックアップしたものが下記である。 「ドライバーショットの場合、ボール初速が1m/s上がると飛距離はおよそ5yd伸びると言われています。新旧モデルの初速差は0.5~0.6m/sですので、3ydほど飛距離が低下した、という結果が得られました」(小松氏)
12年前のボールはドライバーで3yd飛ばなくなる、という結果が出た。ここでPHYZの想定ユーザーを再度確認すると、打点がバラつくゴルファー、とある。3ydの飛距離低下は、ある意味で“誤差の範囲”と言えなくもないような気が…。「マシーンの結果はこうなりましたが、実際に人間が打つとどうなるのか、やってみましょう」(伊丹プロ)
ヒューマンテストではより顕著な飛距離差が!
屋外に場所を移し、伊丹プロが試打を行った。クラブはドライバー、9番アイアン、ウェッジによる30~40ydのアプローチショットの3つで、ヘッドスピードはドライバーで40m/sを想定した。 ドライバーを打ってみると、それなりに差異を感じた。「現行モデルはさすがPHYZ、軽くていい感触が得られ、打音も心地いいです。スムーズに振り抜けるので、素振りの延長で力まず打てます。一方の初代ですが、現行と比べると打感に重さがあり、硬さを感じます。弾道は、目視では違いがあまり見受けられませんでした」(伊丹プロ)