40万年前の古代人がゾウを食べていた!化石から石器で解体した証拠を発見
2000年にインド北部のカシミール渓谷でパレオロクソドンの30万~40万年前のものとされる化石が発見された。パレオロクソドンは絶滅した古代のゾウの一種で、現在のアフリカゾウの2倍の大きさがあった。このほどフロリダ自然史博物館の研究チームが化石の調査を行ったところ、ヒト属の生物(ホミニン)が石器で何度も叩いた跡が見つかった。因みに化石と共に87個の石器も発見されている。 同館のアドヴァイト・ジュカーは、この発見を伝えた科学メディアIFL Scienceの取材に対し、「ホミニンは、パレオロクソドンの骨を折るために何度か打撃を加えましたが失敗し、より破壊力のある石器を必要としていたことが推測されます」と話した。見つかった石器の材料は玄武岩だったが、この地域では玄武岩の発見例が無く、ホミニンはどこかから玄武岩を持ち込んだのかもしれない。また、骨に槍の跡が見られないことから、彼らはパレオロクソドンを狩ったのか、それとも死体を漁ったのかは明らかになっていない。
ホミニンが骨を叩いていた理由については、エネルギーの高い脂肪組織である骨髄を取り出すためだったと考えられている。ジュカーは、「少なくともカシミール渓谷では、人類がゾウの仲間を食べていたことは確実です」と語る。これはインドにおける最古の動物解体処理例となる。 研究チームは、今後更なる食肉の痕跡が見つかる可能性があると考えている。その理由についてジュカーは、「昔、人々が化石を集めていた頃は、良い状態の頭蓋骨や四肢の骨だけが収集されていました。人為的な剥離や破損を示す可能性のある粉々になった骨はそのまま残されているに違いありません」と語った。
ARTnews JAPAN