「アルマーニ」初の日本人メイクアップアーティスト上田裕美が語る、ショーのバックステージと目指すイノベーション
WWD:グローバル メイクアップ アーティスト就任の経緯やブランドとのやりとりで印象に残っているエピソードは?
上田:昨年の7月から、コレクションでゲストメイクアップアーティストとしてランウェイのメイクを担当させていただいた。前々回の「プリヴェ」が私にとって初めてアルマーニ氏と共に取り組むプロジェクトだった。その中で彼の堅実な美意識と卓越したリーダーシップを目の当たりにし、彼のような人と一緒に仕事をすることをさらに望むようになった。
WWD:「アルマーニ」での仕事とほかのブランドとの仕事で感じる違いは?
上田:「アルマーニ ビューティ」は個々の自然な美を引き出すことを重視し、肌に負担をかけずに素晴らしい表現を実現している。ほかのブランドと比較して、「アルマーニ」の仕事は顧客の個性を際立たせ、自然な美を尊重するアプローチが特徴的だ。
幼いころから“色”に親しみ
カラーセラピーを独学で身につける
WWD:メイクアップアーティストを志したきっかけや原体験は?
上田:幼いころからモノ作りやスケッチは好きで、就学期もカラーセラピーを独学で習得するなど、さまざまな面で色に関わることに進んで取り組んでいたように思う。大学では全く違った分野であるドイツ文学を専攻したが、卒業論文では「日本とヨーロッパの色彩景観条例の歴史について」をテーマに研究を進め、気づけば色に関わることに携わっていた。その後、ロンドンに移住してから、ファッションの学生との交流を通じて私はメイクアップアーティストとしてのキャリアを志すようになった。
WWD:グローバルメイクアップブランドのメイクアップアーティストに日本人が就任するのは近年では珍しいニュースだ。過去のどんな体験が糧となったか。
上田:メイクの勉強を始めてアシスタント業に携わるようになったころ、本当に楽しくて大きな夢に向かって情熱を傾けた。目標は大きく漠然としていたが、日々の小さな一歩を踏みながら着実に前進していくことが重要だと感じている。また、自分自身の道を模索し、周囲の環境に流されず、自分のペースでキャリアを築くことも重要だ。