トランプタワー地下1階の土産物店に行ってみた。オーナー曰く「最も売れている」トランプTシャツにプリントされていたのはまさかの<屈辱的写真>で…
◆いちばん売れているグッズ あれこれ物色していると、カウンター内にいた男性オーナーが「あれがいちばん売れているよ」と白いシャツを指さした。 「けっして降伏しない!」。そんな文字とともに、トランプのマグショットが大きくプリントされていた。 この写真は、前回の大統領選でジョージア州の票集計に介入しようとしたとして、2023年8月にトランプが起訴されて出頭したときに撮影された、いわゆる“被告人としての顔写真”である。 大統領経験者としてはじめての屈辱的なマグショット撮影だったが、トランプはこの状況を逆手に取った。 ひさしぶりにXを更新し、マグショットとともに「選挙妨害 けっして降伏しない!」と投稿。これが瞬く間に話題を呼び、インターネット・ミーム(ネットで拡散されやすいネタ)として広まり、最終的には人気商品まで生み出すにいたったのだ。
◆ロジャーズ・ニューズのオーナー そんな商品を売り出すオーナーは、マッチョで筋金入りのトランプ主義者かと思いきや、ずいぶんと低姿勢で友好的な男性だった。 名はロジャー・セワニ。メガネをかけた小柄な高齢のインド系移民で、もともと同じ場所で長らく新聞販売店を営んでいたが、前々回の大統領選挙でトランプが有力候補となったのを機にグッズを売り出したところこれが大当たり。いまでは、すぐ隣にあるトランプの公式ストア(高価なゴルフウェアなどを売る)よりも、繁盛する店になっている。 もっとも、ニューヨークは民主党の金城湯池(きんじょうとうち)なので、トランプ支持者の来訪は少なく、ほとんどが物見遊山(ものみゆさん)の観光客だという。たしかに、5分か10分ほど店内を見て回るだけで去っていく客が多かった。 そのぶん、対応は慣れたものだった。わたしが店内で写真を撮ってほしいと頼むと、「これを被れ」と棚から「アメリカをふたたび偉大にしよう」の帽子を差し出してきた。これまでも同じように撮影してきたのだろう。政治的な主張は感じられなかった。
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