実家に帰省時、父から「年100万円」の生前贈与の話が出ました。孫に贈与したほうが「得」と聞きましたが、本当なのでしょうか? 節税効果はどう違いますか?
法定相続人以外への贈与であれば「持ち戻し」の対象外
前項では暦年贈与の制度と注意点について解説しましたが、本項では、前項までの内容を踏まえた上で「孫に贈与したほうが得」といわれる理由について触れます。 「孫に贈与したほうが得」といわれる理由は、「孫などの法定相続人以外への贈与には原則「持ち戻し」が適用されない」からです。「持ち戻し」制度の対象となるのは、子や配偶者をはじめとした法定相続人への贈与です。 そのため、「持ち戻し」期間中に贈与者が亡くなるリスクを考慮した場合には、「子どもより孫に渡すほうが、将来の課税リスクを低減することができる」といえるのです。 なお、孫が法定相続人となるのは、被相続人の子、つまり孫の親がすでに亡くなっている場合です。
暦年贈与を有効に活用したい
本記事では、子より孫に暦年贈与するメリットについて解説しました。税制が改正され、「持ち戻し」期間が3年から7年に延びたため、孫への贈与のほうが将来の課税リスクを減らすことができます。 しかし「孫に若いうちから大金を渡したくない」という人も多いはずです。孫ではなく子へ贈与するのであれば、「持ち戻し」制度について十分に理解しておきましょう。将来、相続税で苦労しないためにも親子で十分に話し合った上で、今後の資産移転について判断したいですね。 出典 国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税) 国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合 財務省 令和5年度 税制改正の大綱 執筆者:小林裕 FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート
ファイナンシャルフィールド編集部