【フィリピンの中華街と華僑ビジネス】世界最古のチャイナタウンと言われているのがマニラ中華街
イロイロ市の活況を呈する中華街
4月4日。イロイロ市は人口約40万人でパナイ島の中心港湾都市。港湾近くの一帯が中華街だ。大きな中華門があり漢字の看板が並ぶ中華街のメインストリートは活気に溢れている。中心部に中華学校、中華商工会議所、道教の廟がある典型的な中華街だ。 メインストリート近くの約200室の中堅ホテルに投宿。華僑のオーナー一族はホテルのほかにポンプ等の機械の卸問屋、飲料水供給事業を経営。初代は金物屋からスタートして事業を拡大した。半日ほど中華街を歩いてみた。
オートバイ部品卸問屋の主人のファミリー・ヒストリー
ホテルの対面の日本のバイク部品卸問屋の主人は58歳。彼は華僑だが中国語を全く解せず自分の家族姓の漢字すら知らない。初代が中国のどこの出身かさえ知らない。祖父の代から醸造を生業としてウイスキー、ラム酒を製造・販売。 彼の兄弟姉妹は13人。長男が家業を継いで残りの兄弟は独立してカーディーラー、不動産など別々の分野で事業している。主人は当初中華街で店を開いたがミニバイクの急速な普及で事業が拡大し手狭になったので中華街から少し離れた現在のビルを購入。 主人の長男・長女はオーストラリアへ留学。そのまま現地で就職・結婚。現在ITエンジニア、看護師をしている。下の子供たちはフィリピンの大学を出てフィリピンで仕事をしてフィリピン人と結婚。誰かに卸問屋を継いでもらう予定と。 主人の話しから典型的な華僑のチノイのファミリー・ヒストリーが浮かび上がってきた。清朝末の混乱期に大陸からフィリピンに渡った華僑1世。そして4世まで一族でフィリピンに根を下ろしビジネスを拡大。さらに5世はオーストラリアに移住。華僑の草の根のネットワークがこうして世界中に拡大している。
買い物客でごった返す間口の狭い中国雑貨の店
中華街の外れにやけに買い物客で混んでいる間口の狭い店があった。小さな雑居ビルの一階だけの売り場だが意外と奥行きがある。売場面積は300平米くらいだろうか。足の踏み場もないほど雑貨が山積みされ、低い天井からも商品が吊るされている。商品は全てメイドインチャイナ。中国からの輸入雑貨のオンパレード。そして2階が倉庫兼事務所のようだ。 店員にオーナーの所在を尋ねると、2階から狭い梯子段を伝ってオーナーが下りてきた。35歳の中国人青年だ。福建省から14年前に両親と一緒にイロイロに移住。商品は全て中国から直接仕入れている。この店の経営が軌道に乗って来たので数年前に両親は福建省に戻り、次のビジネスを始めている。詳しい話を聞きたかったが青年があまりにも忙しそうだったので切りあげた。華僑の逞しい生き方と独特の商売センスを感じた。