【UFC】UFC CONFESSIONS──パントージャ「UFCは堀口恭司がいるのに間違った日本人を連れてきた」×朝倉海「純粋なタックルは取られない自信があったけど、あれは……」
◆両手で突き放す朝倉にクリンチやレスリングがあったら──(DJ)
1R終盤もパントージャは、166cmの身長より7cm長いリーチを活かした左ジャブから右ローで朝倉を後退させると、左右の足を交互に上げながら、右の関節蹴りのフェイントで間合いを詰めて右から左で再び組み。ここも突き放した朝倉だが、またもパントージャの右ミドルを被弾。パントージャの詰めてのダーティボクシングにも両手を伸ばして突き放すが、右ミドルに後退。最後の跳びヒザにも関節蹴りでストッピングされている。 この朝倉のスタンドについて、DJは「ケージの中で1人は戦っている、もう1人は走っている。朝倉はノックアウトするスペースを確保するために走っている。パントージャはどんなスペースがあっても戦おうとしている。それがこの2人を見たときの違いだ。 朝倉は組みついたり、レスリングしたり、クリンチや何かをする代わりに、パントーヤを押しのけようとしている。彼はいつも相手を両手で突き放そうとするから、頭が開いたままになってしまう。クラッシュを起こしたいヤツがいる一方で、彼は戦いから逃げようとしているように見える。朝倉は壁を壊されたくないんだ。 僕なら? パントージャが突進してくる。OK、僕もクラッシュで迎え撃つか、クリンチを始めるか、ヒジを入れるか、右手で彼の頭をどけるか。逃げずに踏み込んで、この手を上げて内側を取ってボディにヒザを当てれば、相手が足を取りに来るから、その時は頭を落としてスプロールして立って殴る」と、朝倉にクリンチゲームが無いことが、王者のペースになったことを指摘する。 寝技を警戒する朝倉にとって、その対処は相手を剥がすこと。そこに自ら組んでいい形で削り、スタンドに戻すという選択肢は、今回に関しては、優先度が低かった。 DJは「アレッシャンドリ・パントージャのゲームだ。朝倉は足が速いが、交通事故のような展開になると、パントージャはムエタイクリンチやレスリング、柔術、グラップリングも織り交ぜてのトランジションのやり方を知っている」と王者の方が、MMAの引出しが多いことを語った。 ◆テクニックで引っかけられた。あそこは警戒してなかった(朝倉) 初回のジャッジペーパーを紐解くと、3者が10-9でパントージャを支持。5R戦において経験豊富な王者が得意とする後半よりも、前半に勝負をかけたい朝倉にとって、大事な1Rを落としたことで、より“KOで勝ってやろうと狙いすぎた”動きになっていった。 逆にパントージャ陣営のマルコス“パルンピーニャ”は「1Rはプレッシャーをかけてところどころでテイクダウンを入れて、相手を少しずつ削る。“朝倉を動かさせて疲れさせる”のが作戦だった」と、作戦通りの展開だったと明かす。 そして2R、序盤から間合いを制したのはパントージャだった。 圧力をかけるパントージャに、足を止めたまま左ジャブを突いた朝倉。そこにパントージャは踏み込んでの左ジャブを顔面にヒット。真っ直ぐ下がった朝倉は右を返すが、そこに内側から左を突いたパントージャは、さらに左のダブルで朝倉に金網を背にさせるとダブルレッグへ。 朝倉はこの瞬間を、「パワーっていうよりテクニックで引っかけられちゃったっていう感じだった。あそこは警戒してなかったとこだった。純粋なタックルは多分取られないなっていうのはあったから。やっぱ引っかけみたいなのが上手かった」と、相手のシングルレッグ、ダブルレッグのタックルを切ることに強い自信を持っていたことを明かす一方で、その後のパントージャの崩しが想定外だったと吐露する。 パントージャのタックルを左で小手巻き=オーバーフックで差し上げた朝倉は、ケージから離れて左に回るが、右手で差してアンダーフックのパントージャは朝倉の胴を右手で固定し、右足を朝倉の左ヒザ裏に差し込んで足払いで崩してテイクダウンへ。ATTでは堀口恭司も得意とする動きだ。バランスを崩すも背中を着きたくない朝倉は両手を着いて中腰となった。 この瞬間、パントージャは朝倉のバックについて背中に跳び乗った。 ここで朝倉は背中に乗らせなかったが、パントージャは右手を首横に左は脇下のシートベルトの形から右足を大きく腹の前から朝倉の奥足の左足まで差し込んでいる。 「ボディトライアングル」=4の字ロックを狙っているのは明らかだった。しかし、まだ片足立ち。ここで左肩を金網につけて完全バックは許していない朝倉だが、右肩は内側に入らず。 ここでひと呼吸を置くことで、パントージャに次のアクションを起こすタイミングを譲る形に。パントージャはバックからシートベルトではなく両脇差し=ボデイロックに切り替え、右足も着地して崩しにかかる。 タイトな上半身で右肩を正対出来ない朝倉に、パントージャは右足フックは解除しながらも、左足で朝倉の右足を小外刈りのように右に引き寄せて背中を向かせると、一気に背中に跳び乗った。 足払いに続く、見事な足運びだった。 パントージャはすぐさま左足を外からフック。このとき、朝倉はパントージャの体重移動で背負いきれず、両ヒザをマットに着いてしまう。 亀の体勢で腕を喉下に巻かれたくない朝倉は右手でパントージャの右腕を払うが、その動きを利して、パントージャは朝倉を仰向けにさせた瞬間、かけていた左足を胴に巻き、4の字ロックを組んでいる。
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