aespaの快進撃を支えるクリエイターが作る「aespaらしいけれどaespaらしくない」 連載:ポップスター・トレンド考察
他の作品においても、違和感のあるテイストを取り入れながら、不完全な美しさを目指すようなタッチは貫かれている。「Armageddon」では、ニンニンに施した「ルイ(RUI)」のカットアウトジャンプスーツ(をトップスとして着たルック)がインパクト大だった。
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「Supernova」では、ウィンターが着用した「シュガースリルズ(SUGAR THRILLZ)」のピンクスカート、ニンニン着用の「ナミリア(NAMILLA)」のトランスフォーマーグローブ、さらにジゼルがまとった「アニヤ レコード(ANIYE RECORDS)」のウエストチェーンなどが際立っていた。使用しているブランドは国もテイストもバラバラだが、どこか共通点も見いだせる。いわゆるECサイト「ドールズキル(Dolls Kill)」系を中心に、キュート+エッジィ+グラムなアイテムを多用し既存の女性像を更新していくようなイメージ、と言えばよいだろうか。他にもAnna Parkが使うアイテムは、「シュシュ/トング(SHUSHU/TONG)」や「キムシュイ(KIM SHUI)」といったブランドも含めて、メンバーのフィジカルを材料に“強さ”へと昇華するスタンスが頻出する。アバターを駆使するメタバースグループという設定ながら、生身の身体の力強さを中心に置いている点が興味深い。
ただ、「Armageddon」では、バーチャルなaespa像と生身の身体を融合させていくような試みも見られた。人体の流動性を表現したかのような「リック・オウエンス(RICK OWENS)」使いのスタイリングは素晴らしく、メイクアップアーティストのJo Eun Bee、ヘアスタイリストのYoon Seoha、ネイルアーティストのSumee Wooも含めた「Armageddon」時のスタイリストチームは、aespaのみならずSMエンタテイメントのビジュアルクリエイティブ史上においても最高傑作の布陣の一つに数えられるのではないだろうか。