aespaの快進撃を支えるクリエイターが作る「aespaらしいけれどaespaらしくない」 連載:ポップスター・トレンド考察
aespaを支えるクリエイターチーム
さて、そういった最近のaespaの圧倒的な快進撃を支えている要因の一つに、ビジュアル面のクリエイティブがあることは言うまでもないだろう。デビュー当初から先進的な世界観が注目を集めていたグループではあったものの、2023年5月にリリースした3rdミニアルバム「MY WORLD」においてY2Kルックを全力でやり切ったあたりで、一旦考えられる手の内は出尽くしたような印象があった。aespaはどこへ行く?メタバースに回帰するのか、それともリアルの世界にとどまるのか――次の動向に注目が集まる中、4thミニアルバム「Drama」や1stフルアルバム「Armageddon」で、より先鋭的なビジュアルを生み出し新たなイメージを開拓することに成功した。「aespaらしいけれどaespaらしくない」という絶妙な新鮮さが感じられる世界観だが、そこで大きな貢献を果たしているのが衣装のスタイリングだ。
実は、aespaのビジュアルチームはそのタイミングで新たな専属スタイリストを投入している。その名は、Anna Park(アンナ・パーク)。BIGBANG(ビッグバン)や2NE1(トゥエニィワン)といったYGエンターテインメント系列のクールなスタイルに影響を受けてきたという彼女は、もともとCL(シーエル)やZICO(ジコ)などヒップホップのアーティストを手がけるスタイリストで、特にラッパーのSik-K(シックケイ)とは親しい仲だ。同時に活動の幅を広げ、Red Velvet(レッド・ベルベット)やIVE(アイブ)からSo!YoON!(ソユン)、Kim Yuna(キム・ユナ)に至るまで、多くのアーティストの衣装をコーディネートしてきた。彼女の魅力の一つは、大胆なリメイク・アレンジの手腕だろう。世界観の実現のために既製服をカットし作り変えていくが、その結果、既存のイメージからやや逸脱するような微妙な違和感を創出し、「aespaらしいけれどaespaらしくない」という針の穴を通すようなフレッシュなプレゼンテーションに成功したのだ。例えば、KBS WORLD TVの「Drama」のパフォーマンスででカリナが試した、「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」と「ノウルズ(KNWLS)」がコラボしたファージャケットの袖を切り落としアームウォーマーに作り変えたワーク。ニンニンにも、同ブランドのセーターをカットしアレンジを加えたものをスタイリングしている。