ウクライナのスポーツ機改造ドローン、チェチェンの特殊部隊基地に突っ込む
ウクライナの軽量スポーツ機改造型ドローン(無人機)が15日かその少し前、ウクライナの前線から1000kmほど離れたロシア南部チェチェン共和国グロズヌイにある特殊部隊の基地とみられる施設を攻撃した。 【画像】ウクライナ軍の改造ドローンチェチェンの基地に突っ込む瞬間 これはウクライナの航空機メーカー、アエロプラクトのプロペラ機「A-22フォックスバット」をベースにした長距離ドローンによる最新の攻撃だ。価格9万ドル(約1400万円)ほどのA-22は、今年春ごろからウクライナ国防省情報総局(HUR)が使い捨ての攻撃ドローンに改造して使用している。 遠隔誘導システムと爆発物を搭載し、燃料を増量して最長1300kmほど飛行する重量最大600kg程度のA-22型ドローンは今年、ロシア国内のドローン工場、ミサイル研究施設、何隻かの艦艇が集まっていた海軍基地などを相次いで攻撃してきた。 グロズヌイに対する攻撃は現地で少なくとも2人よってスマートフォンで撮影され、うち1人は建物にぶつかる様子を至近距離からカメラに収めている。映像からは、ウクライナが2022年2月のロシアによる全面侵攻後に開発した縦深打撃兵器のひとつであるこの即席攻撃ドローンについて、新たな細部もいくつか明らかになった。 ひとつは、特殊部隊の基地とされる施設に突っ込んだ機体は、本来は透明なガラスで覆われた2座席のコックピットに、不透明なカバーが取り付けられているとみられることだ。 また、もともとは尾翼に登録番号が記されていた可能性もある。というのも、映像のひとつでは番号のあたりが塗りつぶされているように見えるからだ。これは、HURがキーウにあるアエロプラクトの工場から直接、新造のA-22を全量取得しているのでなく、無人機への転用のため中古のA-22を調達していることを示唆するのかもしれない。 ウクライナ東部と南部の暴力的な占領を支援している可能性がある特殊部隊の基地に対する今回の攻撃では、大きな火の玉が上がったものの、英国製のストームシャドー巡航ミサイルなど、専用の縦深打撃兵器による攻撃の場合にみられるような大量の破片の散乱は発生しなかった。