チョコ摂取が健康につながる ── 愛知・蒲郡で日本初の実証研究・その成果は!?
もうすぐバレンタイン。街のあちこちの店頭にチョコレートが並び、何を買おうか迷ったり、手作りのチョコを作る人も多いのでは。そんな中、チョコレートの「健康効果」が注目されている。愛知県蒲郡市、愛知学院大学、菓子メーカーの明治が昨年3月から「チョコレート摂取による健康効果に関する実証研究」を行い、このほど中間報告をまとめた結果、血圧低下、善玉コレステロール値の上昇などが見られたという。15世紀ごろからヨーロッパでは「薬」として重宝されていたチョコだが、健康に繋げるためにはどのような商品を選び、どんな食べ方をすればよいのか。これらの研究を続ける愛知学院大学心身科学部長の大澤俊彦教授に聞いてみた。
アジア系人種を対象としたチョコ大規模研究は世界初
「カカオポリフェノールについては、25年ほど前から研究を続けてきました」と大澤教授。活性酸素を抑える働きをもち生活習慣病に有効であるとされるカカオポリフェノールは、ココアやチョコレートに多く含まれる成分だ。 「ココアに含まれるカカオポリフェノールの抗酸化性については、20年前、第1回チョコレートココア国際シンポジウムで発表しました。おそらく世界初だったのでは」。やがてココアの効能については広く知れわたり、ココアブームのきっかけともなった。今年、このシンポジウムは記念すべき20回目を迎える予定だ。 海外でのカカオポリフェノールに関する研究では、ハーバード大学によるパナマのクナ族の研究が有名。パナマのサンブラス諸島に住む先住民族・クナ族は毎日、すりつぶしたカカオの実にトウモロコシを混ぜた飲料を10杯ほど飲む習慣をもつ。彼らと、都会のパナマシティで現代的な食生活をしているクナ族出身者を比べた結果、島の原住民の方が血圧が低く、心臓病やがんの発生率が低いことが判明した。 一般的に、塩分の摂取量が多いと血圧は高くなるもの。しかし、クナ族の伝統食は塩分がとても多く、パナマシティに移住したクナ族の食事の方が塩分は少ないはず。つまりこの結果は常識とは逆転したものといえる。カカオの実の大量摂取から得られたポリフェノールの効果が理由では、というのが研究結果だ。 アジア系人種を対象としたチョコレートの大規模研究は今回が世界初。「これまで欧米人だけに認められてきたチョコレートの健康効果に対する研究結果が、日本人に対しても認められたことが最大の意義です」