チョコ摂取が健康につながる ── 愛知・蒲郡で日本初の実証研究・その成果は!?
実験結果、高血圧の人はハッキリと血圧が下がった
大澤教授が研究方法でこだわったのは、チョコレートを被験者らの日常生活の中になるべく自然に取り入れてもらうというスタイル。今回の実証研究は、愛知県蒲郡市内外の45~69歳までの347人(男性123人、女性224人)に1か月間、カカオポリフェノールを多く含むチョコレートを毎日一定量摂取してもらい、摂取前後の血圧や血液成分などの身体の状態を検証するというもの。 ヨーロッパでも似た実験は行われているが、1日に100グラム、約500キロカロリーのチョコレートを被験者は食べなくてはならず、カカオポリフェノールの効果は認められたものの、食べ続けることで体重が増加するデメリットも生じていた。 蒲郡市の調査では、このようなカロリーの取り過ぎを避けるため、1日に食べてもらう量を25グラムと抑え、その分、カカオポリフェノールの含有量がチョコレートの70%以上と高い「ダークチョコレート」を選択した。 「この方法は成功でした。高血圧の人はハッキリと血圧が下がり、しかも同時に調査した体重、BMI(体重と身長の関係から算出される、ヒトの肥満度を示す体格指数)などの数値に影響は出ませんでしたから。血圧は単純に低くなればいいわけではありませんが、高すぎるのは問題です。今回の調査では、チョコレートを食べても正常血圧の人は変化が小さく、高血圧群の人は大きく血圧が下がるという結果に。まさに理想的です」
チョコは脳を活性化させてくれる!?
血圧が下がったのは、カカオポリフェノールが血管を広げてくれたのが理由だと考えられる。 「注目すべきは、HDLコレステロールの値が上昇したこと」と大澤教授。「善玉コレステロール」とも呼ばれるHDLは、体の中の過剰なコレステロールを回収して肝臓に戻す機能をもつ。対して「悪玉コレステロール」であるLDLコレステロールは逆に、肝臓から体の中の器官にコレステロールを運ぶ。 HDLコレステロールが不足すると体内にLDLコレステロールが必要以上に溜まり、このLDLが酸化することで、血管が炎症を起こして細くなる。つまり血管が詰まりやすくなることで血圧が上がってしまうのは、この二つのコレステロールのバランスが乱れるからだ。「カカオポリフェノールは、強力な酸化抑制作用をもっています。ですからチョコレートを食べることでHDLコレステロールの増加に加え、LDLコレステロールの酸化も抑制してくれるのです」 さらに被験者へのアンケートにより、チョコレートには精神的に活動的になるという効果があることも明らかになった。「カカオに含まれるテオブロミンという成分は精神安定作用を持っていますから。脳を活性化させてくれるので、毎朝チョコレートをひとかけら食べるのはおすすめです」