NASA、ロボット火星探査の長期戦略を発表–3つの科学テーマ
米航空宇宙局(NASA)は米国時間12月11日、将来の火星ロボット探査戦略「Expanding the Horizons of Mars Science(火星研究の新境地を拓く)」を発表した。 発表されたのは、今後20年間における火星ロボット探査戦略を改良し、有人ミッションに先立って小規模ミッションを定期的に実施するというものだ。これは現在、火星からの試料を地球に持ち帰る(サンプルリターン)計画「Mars Sample Return(MSR)」(マーズ・サンプル・リターン)とは異なり、「科学主導型のロボット火星探査プログラム」に焦点を当てている。 Expanding the Horizons of Mars Scienceには3つの科学テーマがある。1つ目は「火星生命の可能性を探す」で、火星に生命が存在する証拠を探査する。2つ目は「火星の有人探査の支援」で、有人ミッションの前にロボットで相乗的な観測を検討している。3つ目は「ダイナミックな惑星系としての火星の解明」で、比較惑星学に重点を置いた科学トピックが含まれる。 これらのミッションは小型探査機による定期ミッションが提案されており、それぞれ1億ドルから3億ドル(約150億~460億円)の予算が想定されている。またNASAは、より複雑な機器を使用した大規模なミッションで、これらの計画を補完する提案をしている。 NASAの2025年度予算案には、火星ロボット探査技術への投資として4000万ドル(約62億円)が含まれている。NASAはそのうち3000万ドル(約46億円)を内部活動に割り当て、90件の提案から25件のプロジェクトを選定する。なお、Expanding the Horizons of Mars Scienceには、特定のミッション計画や予算案件は含まれていない。
塚本直樹