大注目! 70年代を彷彿させるノスタルジックなムード。【2024年秋冬トレンド解説|柴田麻衣子編】
70年代を彷彿させるノスタルジックムードに大注目。
海外コレクションを取材した5人のおしゃれプロに緊急アンケート。今シーズンのムードから感動のショーまで、それぞれの視点でとらえたライブなトレンド解説をお届け。 柴田麻衣子 リステア バイヤー&クリエイティブディレクター
Q1. 24-25秋冬コレクション全体のムードや傾向。
Answer:主体となるムードは、クワイエットラグジュアリーに端を発するミニマルなラグジュアリー。 しばらく継続している要素で、一見新しさはないかもしれないが、そこにはブランドのコードを紐解き、あくまでも丁寧なものづくりで、素材や色、クラフト感で新鮮さを表現するというデザイナーの基本的な思いが表れているのでは?
そしてセレブ起用の賑やかなマーケティングとは裏腹に、たとえば、バレンシアガのショーでは、スクリーンで覆われた会場にAIやSNSをテーマとした映像を映し出し、アンリアルワールドへの警鐘とも取れる雰囲気を作り出したり、コム デ ギャルソンは「怒り」がテーマだったり、プラダにおいても、航空と航海からインスパイアされたミリタリーテイストのワーキングユニフォームとして、力強さを見せたりなど、決して朗らかで楽観的ではなく、現在のさまざまな出来事への強い思いやメッセージが込められた、深くて強いムードが漂っているように感じました。
Q2. 注目しているトレンド(スタイル、アイテム、素材など)は?
Answer:新しいトレンドとして大注目しているのは、70年代を彷彿させるノスタルジックなムード。 特に、シェミナ・カマリによる新たなクロエは、ロマンティックでセンシュアルで、素材やアクセサリーにはモダンな遊びがあって、それでいて上品かつほどよい抜け感もあわせ持っている。 まず、キーとなるピースがケープ。さまざまな素材で登場するが、透けるジョーゼットドレスに合わせるスタイルに注目。襟を立てて男前に着るジャケットも、インにはボリューム袖のジョーゼットブラウスを合わせその袖口を出すような甘辛ミックスがとても上手。アーカイブから登場の馬やバナナモチーフのキッチュなアクセサリーも良いバランスを作り出しています。