「日本の夏は変わった!」 30年前に作詞作曲したオリジナルソングを聴き、しみじみ感じる夏休み
家の物置きから、当時使っていたMDディスクが出てきたので再生してみると、今から30年前に私が作ったオリジナルソング「夏休み」が流れてきました。 【写真】しみじみ感じる時の流れ…「夏休み」の歌に登場する風物詩たち 当時は日記代わりに毎日歌を作っていまして、自宅でラフにアコギ(アコースティックギター)の弾き語りで歌って録音していたんです。 この「夏休み」の歌詞は、どうやら、当時自分が見たり経験した夏の当たり前のシーンばかりを並べているんですが、改めて聴いてみると、どうも今の夏とはちょっと違うな、と……。 まず、ド頭の歌詞では「そんなにスイカに塩をかけたら甘くないだろ夏のおじいちゃん♪」と歌っています。 が……、今。スイカに塩をかけて食べている人は、ほんまに見かけなくなりました。糖度が増している品種が多くなってきたせいかもしれませんし、塩分補給はほかでしてるし。あるいは、減塩傾向ってこともあるんでしょうか。 次に、「一日中、家の前の道にやたら水まく夏のおばちゃん♪」って歌詞。これは気化熱で涼しくってことでやってはったんですが、今は暑すぎて諦めたんでしょうか? 見かけませんね。うちの母親は当時、気がついたらやたらジャージャーと家の前に水をまいてましたね。 次の「何もする事ない夏の昼下がり扇風機に向かってア~♪」って歌詞も、CMやドラマでは今でも見たりするシーンですが、これは、当時実際にやっていた世代の人が演出として撮ったシーンが流れているだけ。今の小さい子たちがするかっていうと、あまりしないということが調べてみてわかりました。 扇風機以外に、エアコンやサーキュレーターなど、多様化しているからかもしれませんし、そもそも「扇風機に向かってア~って言って何がおもろいねん」と思っているのが今の子どもなのかもしれません。 続いての歌詞が、「怖そうな人にフリスビーあたる誰が取りに行くのか? 夏の浜辺で♪」というもの。 当時は、砂浜でフリスビー(フライングディスク)をビュンビュン飛ばして遊んでいる人をよく見かけました。まあ、歌詞にもあるように、人に当たる可能性大なので危ないからと禁止になったのかもしれません。 この歌の1番のサビ部分では、「昼寝の途中、電話なる夕立だから洗濯物いれて顔に畳のあと付けて夏休み♪」と。 さっきまで晴れていたのに突然雨が降ってくる、夏の風物詩ともいわれている夕立。でも最近は、突然降ってくる雨は「ゲリラ豪雨」と呼ぶことが多くなってきたせいか、「夕立」という言葉はあまり聞かなくなりましたね。それと、歌詞にある「電話」というのはもちろん、「家電(固定電話)」のことです。 2番の歌詞では、「ワイドショーに昼メロ、マンガ大会、心霊特集、夏みるテレビ♪」と歌っています。普段は日中家にいることはないので、夏休みに見られるワイドショーは新鮮でした。昼メロもそうです。ちょっと大人なストーリーを食い入るように見ていて、親からよく怒られました。 地域性もありますが、毎年、夏休みの午前中はアニメの再放送が連続で放送される“マンガ大会”がテレビで流れていました。 30年ほど前は、テレビで心霊特集もやたらとやってました。朝の番組でも、昼でも夜でも、なんでやろと思うくらいにやってましたね。 2番のサビは、「20日過ぎに電話なる、宿題見せて頼むわね、そんなこと言われても僕もやってないのに夏の終わり♪」。 これは夏休みの後半となる8月に、「やってない宿題を写させてほしい」と電話がかかってくるシーンを歌っているのですが、今や、夏休み期間が8月31日までじゃなくなっている学校も多くなっているので、夏休みの終盤ってのがもっともっと早くなっているというのも事実です(こちらも地域や学校によって異なります)。 歌の終盤では、過ぎゆく夏を惜しむように「沈まないであつい太陽♪夏休み♪」と歌っていますが、今や暑すぎる太陽。1秒でも早く沈んでくれと思いますね(笑)。 「歌は時代を映す鏡」といわれますが、まさにそう。自分の作った夏の歌が、30年経ったらこんなに様変わりしてしまうんやってしみじみ感じた「夏休み」でした。 ※ラジオ関西『バズろぅ!』2024年8月31日放送回より (『バズろぅ!』ラジオパーソライター・わきたかし)
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