Jクラブ設立の学生起業家からスポーツクラブ経営コンサルへ 若い感性生かすには「おバ●になりきり、奇抜発想を!」
西スポWEB OTTO!の第2期学生スポーツゼミ第6回が西日本新聞天神南ビル(福岡市)で開かれ、OTTO!特別アドバイザーの宮城亮さん(P’lus Nine代表取締役、総合型地域スポーツクラブ経営コンサルタント)がメイン講師を担当した。 ■ゼミを終えて「サッカーを観戦する身として…」生徒たちのコメント【一覧】 大学生時代に沖縄県でサッカーJクラブチームの設立に携わり、社会人になっても一貫してビジネスの最前線で「スポーツ×地域活性化」を実践する行動派だ。自身の経験をふり返りながら、若い発想をスポーツビジネスに生かすため「おバカになりきって!」と学生たちを刺激した。
■優秀だが、大人に気遣い過剰?
「皆さんはすごく優秀。ただ、これまでのゼミでの発言は大人のわれわれに気を使い、お利口さんの発言をしてくれているんだと思う。でも、大人のビジネスマンが学生に求めているのは奇抜なアイデア。おバカと言われようと、誰も考えつかないオリジナリティーのある発想がビジネスの種になる」。OTTO!学生ゼミ第1期が始動した昨年6月から運営に携わってきた宮城さんは、学生たちにあえてこんな言葉を投げかけた。 サッカー少年だった。高校1年の時にブラジルへ短期留学。サッカーが地域の真ん中にある様子を目の当たりにした。大学在学中にJリーグクラブ設立に携わり、普及・営業・広報など経験。100人超の試合運営ボランティアを束ね、サポーターグループを設立し、初出場のJFLでベストサポーター賞を受賞した。 「僕は大学3年ときにFC琉球というサッカーチームを作った。周囲は『バカじゃないの?』。家族も『大学まで行かせたのに、なぜ』みたいな反応だった。でも、既存のプロチームにスタッフとして就職するのもいいが、やろうと思えば、ソフトボールでもサーフィンでもプロチームはつくれる」。宮城さんはプロスポーツチームをゼロから作り、育てていく醍醐味を語り始めた。
■「スポーツ×地域振興」の原点
Jクラブの設立や運営を手がけてきた宮城さんが、スポーツ振興を通じた地域活性化の可能性に目覚めたのは大学時代だった。地元商店街の活性化企画「ドリームショップグランプリ」でグランプリを獲得し、賞金でイベントスタジオを開業。シャッター街だった商店街がにぎわいを取り戻した。大学院では国内・海外の先進クラブを視察するなどして、修士論文「スポーツ振興による沖縄社会経済の活性化」を書き上げた。 宮城さんはプロサッカーチームの可能性を語る一方、プロ野球と比べてビジネス上の大きな「弱み」があると指摘した。 それは、試合数の少なさと、Jリーグが発足当初から重要な理念として掲げるホームタウン制度だ。 J1のリーグ戦は全20チームが他の19チームと2試合ずつ対戦し、年間38試合で争う。一方、プロ野球は12球団がセ・パ両リーグに6球団ずつに分かれ、交流戦も含めて年間143試合に上る。 入場料収入、放映権料、スポンサー収入とも試合数が少ないほど、稼ぐ機会も少なくなるのは自明の理。ホームタウン制度は地域にコアなファンとスポーツ文化を育てる素地となるが、九州・沖縄にJ1が2チーム(アビスパ福岡、サガン鳥栖)、J2が4チーム、J3が3チームもあり、ファンが分散する側面もある。日本野球機構(NPB)のプロ野球は福岡ソフトバンクホークスのみであるのとはビジネス環境が異なる。 チームが持つ資産とは何か、企業がチームのスポンサーになる理由とは…。宮城さんは、サッカービジネスに関係する「お金の話」を具体的に考えてもらいながら、学生たちにこんな課題を投げかけた。 「サッカークラブ経営の弱みを補う、新たな収入源を考えよう!」 グループワークに入った学生たちは、は宮城さんが求めた「奇抜なアイデア」をひねり出すことができたのか…。