野党、政権交代へ千載一遇の好機も厳しい戦い 焦点は衆院選後の「一手」
野党各党は自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を奇貨として、衆院選で自民、公明両党の過半数割れを目指す。ただ、野党側は同じ小選挙区で候補が乱立しており、政権批判票の分散は避けられない。千載一遇の好機を生かし、政権担当能力を示せるかが躍進の鍵となる。 【画像】企業が選ぶ立民の「次のトップ」 「政権交代こそ最大の政治改革だと一番強く言わなければいけない」 野党第一党の立憲民主党の野田佳彦代表は9日の党首討論後、国会内で記者団にこう述べ、衆院選で政権交代を目指す意思を改めて示した。選挙では自民の「政治とカネ」問題を追及し、立民が掲げた企業・団体献金の禁止などの政治改革を訴えるとも強調した。 今回の衆院選は立民と共産党などが全面的な共闘はせず、それぞれが地力で戦うことになる。平成28年の参院選以降の国政選挙では、安全保障関連法の即時廃止などを掲げ、多くの選挙区で候補者を一本化してきたが、今回は限定的にとどまる見通しだ。 共産が安保関連法の即時廃止に否定的な野田氏に反発したことなどが原因だが、立民中堅は「これで政権担当能力を示せる。もう『立憲共産党』とは呼ばせない」と意気込む。ただ、共産票が多い首都圏などでは立民と共産が水面下で手を組む事例もみられる。 一方、第三極として存在感を示してきた日本維新の会もかつての勢いはなく、国民民主党も知名度向上が課題となる。 野党各党も政権批判票が分散する中で厳しい戦いを強いられる。野党の重鎮は「勝ち上がってきた勢力は次の政権を担い得る。非自民・非共産の結集が今後の焦点だ」と早くも次の一手に意欲を見せた。（千田恒弥）
