恐ろしい…「分譲マンションの住人」が数年後に直面する“深刻な問題”【専門家が解説】
マンション住人の「高齢化」進む
「60代」がもっとも多く、70代以降も増加傾向 つまり、いまや日本に住む約8人に1人がマンションに居住している。とりわけ都心部においては、分譲マンションに住むという居住形態は、一般的とすらいえる状況になりつつある。 実際、分譲マンションの世帯主は、前出の「マンション総合調査」によると、60歳代が27%と最も多く、次いで50歳代が24.3%、70歳代が19.3%、40歳代は18.9%とされる。30歳代以下にいたっては7.1%で前回調査7.8%より減少する一方で、70歳代以上は18.9%から22.2%へと増加しており、住人の高齢化が着実に進んでいる。 なお、完成年次が古いマンションほど70歳代以上の割合が高くなっており、1979年以前にできたマンションだと、世帯主が70歳代以上の割合は47.2%にものぼる。 築古マンションも増えている。2020年末時点における分譲マンション約675万戸のうち、築30年超のマンションは約34%の232万戸、築40年超も103万戸(マンションストック総数の約15%)ある。 しかも、2030年末には築30年超が約405万戸、築40年超がいまの約2.2倍の232万戸、さらに2040年末には築30年超で578万戸、築40年超のマンションでは、いまの約3.9倍の405万戸にもなると言われている。
新築マンションの供給は頭打ち…“神話崩壊”のいま、売れ筋は「中古」
一方、近年新築マンションの供給戸数は頭打ちになっている。2011年~ʼ20年の供給総戸数は105万戸、1年当たりだと平均10.5万戸と計算できる。ʼ06年は20.5万戸、ʼ07年では22.7万戸だった供給戸数を考えると、いまの新築マンションの供給がいかに少ないか、おわかりいただけるであろう。 ここで試算してみたい。これからも同じペースで供給され続けると仮定した場合、2020年からʼ30年までの10年で105万戸の新築が誕生し、2020年の675万戸のストックとあわせて、10年後のマンションストック戸数は約780万戸。このうち築30年以上は、約52%にあたる405万戸と推定できる。 つまり、10年後に分譲マンションを購入しようとすると、2部屋に1部屋が築30年以上ということになるのだ。 日本人の既成概念とされる「新築神話」もまた、崩壊の一途をたどり、マンションを買うなら「築30年以上の中古マンション」というのが一般的になってくる。すでにいま売れているのは新築マンションではなく中古マンションである。 これらのデータをあわせると、築古の高経年マンションに、高齢者が数多く住んでいるのが、2030年のマンション近未来予想図ということになる。建物も人間とともに年を重ね老いていく。これが俗にいう「2つの老い」である。