千曲川の堤防決壊から5年 “リンゴの里”長野市長沼は今 担い手減少…新規就農者に期待 台風19号災害の被災地の現状
■課題に直面…高齢化、後継者不足
あれから5年。農家の努力もあって長沼はすっかりリンゴの里に戻りました。 ぽんど童・小滝和宏さん: 「元の生活にはなりつつある、地域全体。元通りと言えるかどうかはあるが、昔以上にリンゴ生産を頑張っている」
しかし、被災でリンゴ栽培を辞めた農家も少なくなく、地域の果樹農家は被災前の2018年は300軒ほどありましたが現在は約280軒。 栽培面積も136ヘクタールから120ヘクタールに減りました。 高齢化、後継者不足、遊休農地の増加といった課題に直面しています。
■地域おこし協力隊員を募る
そこで市は、長沼も対象に入れて主に農業分野で活躍する地域おこし協力隊員を募ってきました。 任期は3年で定住してもらうのが目的。2024年8月の時点で、11人が活動しています。 茂垣さんもその一人です。
埼玉県で生花店を営んできた茂垣さん。子育てが落ち着き、夫婦二人の生活になると移住を考えるようになりました。 茂垣さんは移住フェアに積極的に参加。その中で知った長野市の地域おこし協力隊員に応募し、採用されて夫婦で移住してきました。 地域おこし協力隊員・茂垣明徳さん: 「自分が役に立つということを考えたとき、地域おこし協力隊が分かりやすかった。復興の役に立てるといういことが、(長沼地区に)行ってリンゴ農家になることが役に立てる。分かりやすい理由付けとしてあったので、それはきっかけとして大きかった」
茂垣さんは「ぽんど童」に所属し、小滝さんなどの指導を受けながら約50アールのリンゴ畑を管理してきました。今、2回目の収穫を迎えています。 地域おこし協力隊員・茂垣明徳さん: 「今年は凍霜害の影響もなくよくできている。去年は凍霜害の影響で史上最悪クラスの不作だったが、今年は通常通り。自然相手のものなので、毎年毎年違うなということはすごく感じている」
■「成功して、後につなげたい」
リンゴはJAを通じて首都圏や関西方面へ。 ぽんど童・小滝和宏さん: 「リンゴ作りは年1回しか収穫がないもので、それを1年通して全部の流れを覚えてもらいながら、おいしいリンゴを作れるように教えていって、ゆくゆく会の畑も茂垣さんに託していきたい」
リンゴ農家になるというミッションを果たし、それを見た人、知った人が後に続いてくれればと茂垣さんは話しています。 地域おこし協力隊員・茂垣明徳さん: 「まずはリンゴ農家として就農すること。私が先駆けというか前例になるということ。自分が成功しなければやはり後は続かないと思うので、成功しないといけない」
長野放送