【2024 Moto2 第18戦タイGP】15年ぶりの日本人世界チャンピオン誕生!! 小椋藍がMoto2クラスでチャンピオン獲得
2024年10月25日から27日にかけて、タイのチャーン・インターナショナル・サーキットでMotoGP第18戦タイGPが行われた。Moto2クラスは小椋藍(MT Helmets - MSI)がタイトルに王手をかけており、今大会で5位以内に入ればライバルの順位に関係なくチャンピオンが決定する。2009年以来の歓喜の瞬間が訪れようとしていた。 【写真はこちら】Moto2クラスでチャンピオンとなった小椋藍選手 ●難しいコンディションの中、小椋が2位に入り自身初のタイトル獲得 決勝前日に行われた予選では、タイトルに王手をかけている小椋がポールポジションを獲得。これ以上ない結果を出し、優勝に最も近い位置から決勝に挑む。 2位にはランキング2位のアロン・カネット(Fantic Racing)。最後のアタックでは区間最速を刻み小椋のタイムを上回るスピードを見せるも、最終コーナーで少し挙動を乱してしまいポールポジションを逃してしまう。3番グリッドにはディエゴ・モレイラ(Italtrans Racing Team)がつけた。 日曜日は朝方にかけて雨が降り、路面はドライながら濡れている箇所も。気温25度、路面温度28度という難しいコンディションの中、22周の決勝レースがスタート。 小椋がホールショットを奪いトップでターン1をクリア。しかし、続くロングストレートエンドでカネットが小椋を抜きトップに浮上する。 カネットとのポジション争いを繰り広げた小椋だったが、最終コーナーで複数台のマシンにインを疲れ一気に7番手まで後退。タイトルがかかる1戦だけに無理にインを抑えることなく小椋は再び上位を目指していく。 緊張が少しほぐれたか、小椋がアタックを開始する。タイムを更新しながら周回し、ダリン・ビンダー(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)に接触しながらオーバーテイク。小椋の勢いは止まらず、8周目にジェイク・ディクソン(CFMOTO Inde Aspar Team)、10周目には3番手のモレイラも攻略し、表彰台圏内までポジションを回復してみせた。 前方を走るカネットとマルコス・ラミレス(OnlyFans American Racing Team)を捕えるべく、3位に上がった小椋がファステストラップを連発して猛追。そして、14周目のターン3でラミレスのインをついた小椋がついに2位にまでポジションを戻してみせた。 カネットと小椋の差は1秒ほど。これまで着実にギャップを詰めていた小椋だったが、カネットがこれに反応しペースアップしギャップは徐々に広がっていく。 また、この時点で雨足が強まってきたこともあり、小椋はカネットを追うのを止め、2位確保にスイッチ。 そして、残り2周となり雨がさらに強まったことで赤旗が掲示され、レースは20周で終了することが決定した。この結果、2位でレースを終えた小椋は日本人初となるMoto2クラス王者に。 また、中量級クラスでは、2009年に青山博一氏が250ccクラスを制して以来、15年ぶりの栄冠となった。そして、小椋が所属しているMT Helmets - MSIもチームチャンピオンを獲得している。 Moto2クラス参戦4年目の小椋はMoto2クラスにこだわりを持っており、昇格するよりもMoto2クラスでチャンピオンを獲りたいと語っていた。 そんな中、2025年シーズンにトラックハウス・レーシングからMotoGPクラスへの昇格が決定。小椋にとって今年がMoto2クラス最終年となった。 新チーム、新しいマシンとタイヤでのレースというチャレンジングなシーズンが予想された小椋だったが、第6戦カタルニアGPで今季初優勝をマーク。以降も上位での入賞をコンスタントに重ねた小椋はシーズン中盤にはランキングトップに浮上し、そしてこの18戦タイGPでタイトルを決めた。 小椋が最も望んでいたMoto2クラスのタイトル。悲願を達成した小椋は来年、世界チャンピオンの称号を提げ、最高峰クラスに挑戦することになる。 次戦は11月1日から3日にかけて行われる第19戦マレーシアGP。タイトルは決まったが、来季に向けた戦いは続く。残り2戦、これまで以上に激しいバトルが展開されることを期待したい。
河村大志