構造的に都市封鎖が難しい日本 「空間」ではなく「時間」を止めるという考え方
時間を止めろ
当然ながら僕の周辺は建築関係の人間が多い。 彼らの意見を聞くと、テレワークだとか外出自粛だとかいっても、現場が動いていれば行かなければならないという。日本の生産現場のほとんどがそうだろう。現場が動いていれば、社員は家でジッとしているわけにはいかないのだ。 本気で外出を止めるためには、あらゆる現場を止める必要がある。 そこで提案なのだが、日本のすべての生産現場を止めて、その工期と納期を二週間延長したらどうだろう。すべての契約をそのまま延期するのである。 つまり「時間を止める」のだ。日本の都市構造上困難な「空間的」対処ではなく、「時間的」に対処するのである。 実は最近、4月発売予定の雑誌『月刊ひととき』5月号(ウェッジ社)に、「西洋の庭園は空間的であるが、日本の庭園は時間的である」と書いたばかりで、それが頭に残っていたのである。日本文化は、建築も、庭園も、絵画も、時間的な要素が強い。日本の風土は四季の変化がはっきりしていて、その時間的移ろいに関わるきめ細かい文化が発達してきた。日本の交通機関やすべての組織が、キッチリと時間を守ることはよく知られている。日本人は空間防御には弱いが、時間管理には強いのである。工期、納期、契約の二週間延期にともなうさまざまな問題にもうまく対処するのではなかろうか 二週間時間を止めて、その間に検査を充実させ人によっては隔離する。 もちろんさまざまな問題が生じるだろう。その間の損失と生活をどうするのか。業種によって、企業によっての違いもある。首都圏も、関西圏も、仕事は全国とつながっているから、日本全体を止めることが望ましいが、一部の地域、一部の業種は除外してもいいかもしれない。もちろん医療と食料の供給は止められない。しかしまず大鉈を振るって、それから詳細に除外項目と補償項目を検討すればよい。 日本の二週間は失われる。しかし感染が広がれば、二週間が二年間になるかもしれない。いやそれどころか、日本の二十年が失われる可能性だってあるのだ。 安倍首相には、今すぐにでも「最後の一手」を打ってもらいたい。