久保だけではない世界に挑むU-20日本代表の逸材
20歳以下のナショナルチーム世界一を決める2年に一度のヒノキ舞台、FIFA U‐20ワールドカップが20日から韓国で開催される。 実に5大会ぶりに出場するU‐20日本代表には、15歳のFW久保建英(FC東京U‐18)以外にも、3年後の東京五輪の主軸候補となる逸材たちが開幕をいまかと待ち焦がれている。 その筆頭となる19歳のFW小川航基は、所属するジュビロ磐田の名波浩監督が周到に描いた育成プランのもとで、183センチ、77キロの屈強なボディに宿る類希な潜在能力を開花させてきた。 高校ナンバーワン・ストライカーの肩書を引っさげて、神奈川県の強豪・桐光学園から加入した昨シーズン。周囲から寄せられる期待に反して、J1における小川の出場機会はゼロに終わった。大物ルーキーに対して、名波監督はこんな言葉をかけ続けていた。 「軽はずみなタイミングでは使わないからな」 ジュビロの黄金時代を司令塔としてけん引した現役時代を含めて、長く日本サッカー界に携わってきた指揮官は、その意図をこう明かす。 「高校を出て、2、3点だけ取って消えていった選手を何百人と見てきたなかで、甘えた状況でピッチに送り出すことは避けたかった。今後、彼が日本の宝、日本を背負って立つストライカーになるであろう、という位置づけで育てないといけない使命感もあるので」 その代わりに連日のように課されたのが、マンツーマンによる居残りのシュート練習だった。名波監督から「もう高校生じゃねえんだぞ」と檄を飛ばされながら、歯を食いしばってシュートを打ち続けた日々が、成長を導く糧になったと小川は感謝する。 「トラップやシュートを打つ際にリラックスする部分などで、レベルアップできた感じがあります。期待を裏切ったらいけないと思っているし、(名波監督を)がっかりさせないような結果を持ち帰りたい」 今シーズンはすべて途中出場ながら、J1では5試合でピッチに立った。YBCルヴァンカップではFC東京戦でのハットトリックを含めて、5試合で4ゴールをマークしている。 サイズを生かした空中戦にも強く、周囲を生かすポストプレーも身につけ、それでいて最終ラインの裏に抜け出すスピードと泥臭さも兼ね備える。万能型のストライカーへ変貌を遂げつつある過程で迎えるヒノキ舞台へ、小川は闘志をみなぎらせる。 「自分の役割はただひとつ。ゴール前での迫力と動き出しで得点を量産して、チームを勝利に導くこと。それを実行してきたい」