【ラグビー】プロになる「一丁目一番地」。本質重視の新機軸育成キャンプに潜入。
ハードに身体を動かしながらほとんどのメンバーが体重を落とさなかった。それぞれ「普段から食事に気を付ければ体重が増える」と直感したようだ。 通常のスポーツの合宿では、次の練習で首尾よく動きたいからと十分な食事を摂らない選手が出がちだ。しかしアルゴスのキャンプは、食べ終わってから身体を動かすまでに90分以上のブランクを設ける。口にしたものを消化してもらうためだ。 きめの細かい配慮は各所で見られた。サポート役の大人たちは毎晩、子どもの状態や翌日の進行について打ち合わせを重ねた。さらに銘苅コーチは、トレーニングを終えるたびにその一部始終を撮った録画を確認。数時間後のミーティングで端的に紹介できるよう、編集作業もおこなっていた。 援軍にはアシックスジャパン株式会社も並んだ。足型計測、スパイクの試し履きで携わった。さらに3日目の21日には、同社が両足を支える横浜キヤノンイーグルスの田村優によるトークセッションを実現。ベーシックな技術を突き詰める大切さを伝えた。 プロジェクトを統括するスタッフたちは、グラウンド内外で構築したプログラムをプロ挑戦への「一丁目一番地」と定義。その時々のトレンドに左右されない原理原則を皮膚感覚で掴んで欲しいという。次回以降も長期休暇ごとにキャンプを実施する予定だ。 目下の課題は、この取り組みをいかに持続可能なものにするかだろう。キャンプの参加者数はもちろん、キャンプの哲学に共鳴する支援者も増やしたいところか。現在、活動を下支えする株式会社日建の大賀雅雄・代表取締役は、「いまは産みの苦しみ。我々の活動に共感したい、協力をしてくれるという企業様などを巻き込みながら、さらによいものを作り上げていきたい」と話した。 (文:向 風見也)