消費者物価は2カ月連続鈍化、市場予想を上回り日銀利上げ観測後押し
(ブルームバーグ): 10月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比上昇率が2カ月連続で縮小した。政府の物価高対策に伴うエネルギー価格の鈍化が主因。市場予想を上回り、日本銀行による早期利上げ観測が強まる可能性がある。
総務省の22日の発表によると、コアCPIは前年同月比2.3%上昇。市場予想は2.2%上昇だった。日銀の目標の2%を上回るのは31カ月連続。前年に電気・ガス代の補助金が半減され、価格が押し上げられた反動などが出たエネルギーは2.3%上昇に減速した。一方、生鮮食品を除く食料は3.8%上昇。米価格上昇などを受けて7カ月ぶりの高い伸びとなった。
生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIは2.3%上昇と3カ月連続でプラス幅が拡大した。市場予想は2.2%上昇だった。
日銀は経済・物価情勢が見通しに沿って推移すれば、利上げを継続していく方針だ。植田和男総裁は、足元の経済・物価はオントラック(想定通り)とみており、毎回の金融政策決定会合で政策判断をする考えを表明。21日には12月会合までに「非常に多くのデータや情報が利用可能となるだろう」と語った。今回の結果は円安進行も背景に市場で台頭している12月の利上げ観測を後押しする内容だ。
農林中金総合研究所の南武志主席研究員は、電気代とガス代を除けば「インフレはしっかりしている」と指摘。その上で、日銀の次の利上げは12月と予想しており、「政策の正常化に向けてオントラック(想定通り)という説明になるだろう」と語った。
ブルームバーグが10月の決定会合前に実施したエコノミスト調査では、約5割が12月会合での利上げを見込んでいる。来年1月までの利上げ予想は8割超に達している。
CPIの発表後、東京外国為替市場の円相場は対ドルで一時1ドル=153円台まで上昇。発表前は154円30銭前後で推移していた。
賃金動向を反映しやすいサービス価格は1.5%上昇。前月(1.3%上昇)からプラス幅が拡大した。今年の春闘の平均賃上げ率が33年ぶりの高水準となる中で、賃金から物価への転嫁が進展するかが注目されている。