埼玉県は魅力ない!?「いえいえ、日本防衛の要は満載です!」知られざる底力とは
陸自の上級司令部ふたつは朝霞で同居
埼玉県に所在する自衛隊の司令部は、空だけではありません。
陸上総隊司令部(朝霞市、和光市、新座市)
陸上自衛隊は全国を5つのエリアにわけ、地域ごとに師団や旅団など配置しています。実際に現場へおもむき、矢面に立つ部隊の作戦面における最上級司令部といえるのが、朝霞駐屯地に所在する陸上総隊司令部です。 陸上総隊の隷下にあるのは、陸上自衛官約15万人のうち約13万人で、直轄部隊として落下傘部隊である第1空挺団や、日本版海兵隊と呼称される水陸機動団、本格的特殊部隊である特殊作戦群などがあります。
東部方面総監部(朝霞市、和光市、新座市)
前出の陸上総隊司令部とともに朝霞駐屯地に同居するのが東部方面総監部です。ここは陸上総隊の隷下にある、関東甲信越と静岡県の1都10県を担当区域として受け持つ東部方面隊の司令部で、域内の防衛警備を担うとともに、首都圏で万一災害などが起きた際の初動を担当します。 駐屯地内で司令部と総監部の建物も隣接しており、普段から徒歩でスタッフが行き来しています。 なぜ朝霞駐屯地に陸上総隊司令部と東部方面総監部が併設されているのかというと、東京近郊の自衛隊駐屯地としては広い敷地を有しているからです。最初に設置されたのは東部方面総監部で、1990年代に行われた東京周辺にある防衛施設の再配置計画で新宿区市ヶ谷から移転してきました。そして2010年代に、新設される陸上総隊司令部も朝霞に置くことが決まり、2018年3月から同居するようになりました。 なお、朝霞駐屯地は正門周辺部が東京都練馬区にあるため、住所は都内になりますが、敷地面積の9割以上は埼玉県にあり、電話番号の市外局番も「03」ではなく「048」です。
さいたま市には大規模災害時の支援拠点も
県庁所在地さいたま市の、さいたま新都心には中央省庁の出先機関が集約配置されており、大規模災害時は立川広域防災基地を補完する「さいたま広域防災拠点」として、首都機能のバックアップ拠点と位置付けられています。
さいたま新都心合同庁舎(さいたま市)
さいたま新都心合同庁舎は1号館と2号館の2棟からなり、2号館に治安や防衛、災害対応を担当する関東管区警察局や北関東防衛局、関東地方整備局などが入っています。 関東管区警察局は警察庁の下部組織で、東京都を担当する警視庁以外の関東甲信越および静岡県の10県警を指揮監督し、各種調整を行います。 北関東防衛局は、上述した東部方面総監部の担当区域のうち、神奈川県と静岡県、山梨県以外の1都7県を担当する防衛省の地方部局で、域内の防衛施設の整備や物品調達、各行政機関との調整などを、おもな役割としています。 関東地方整備局は、関東と山梨県、長野県と静岡県の一部を担当する国土交通省の地方部局で、道路や空港、港湾、ダム、河川などの整備や維持管理を担っています。 これら機関が入るさいたま新都心合同庁舎は、広域防災拠点として耐震性の確保とともに、ヘリポートや通信ネットワークなどが用意されており、さらに万一の際は災害対策本部を設置できるだけのスペース(本部長室や記者会見室含む)が建物内部に設けられています。 ※ ※ ※ このほかにも、埼玉県の重要施設としては、JR東日本の新幹線5路線が全て乗り入れる大宮駅などがあります。 ただ、埼玉県は内陸県のため海洋に関する重要機関はなく、それらについては神奈川県や千葉県に配置されています。
乗りものニュース編集部