【選手権】伝統の帝京「魂」、聖地国立に降臨京都橘との激戦制し17年ぶり選手権勝利!
全国48代表校チームが参加し12月28日に開幕を迎えた第103回全国高校サッカー選手権大会。東京・国立競技場での開幕戦は東京Bブロック決勝で第94回大会準優勝の國學院久我山を2-1と逆転勝ちで下し、実に15大会ぶり35度目の出場を決めた過去選手権6度・インターハイ3度全国制覇の帝京(東京B)と、京都府大会決勝でライバル・東山を瀬戸内をスコアレスでの延長・PK戦で破り2大会連続11度目の出場を決めた第91回大会準優勝・京都橘(京都)が激突。1回戦屈指の好カードにスタンドには18,000人を超える観衆が詰めかけた。 【フォトギャラリー】帝京 vs 京都橘 スタートフォーメーションは帝京が「4-2-3-1」、京都橘が「4-4-2」。スターティングイレブンは帝京がGKは1大橋藍(3年)。4バックは右から15大舘琉史朗(3年)、U-18日本代表の20田所莉旺(3年)、5畑中叶空(3年)、3ラビーニ未蘭(3年)。中盤はダブルボランチに21永田煌(3年)とキャプテンの8砂押大翔(3年)が入り、その前に右から17安藤光大(3年)、14杉岡侑樹(2年)、11堀江真広(3年)。ワントップは10森田晃(3年)。東京B決勝では大学受験のためベンチ入りを外れた11堀江と、21永田が晴れ舞台でスタメンに名を連ねた。 対する京都橘は、GKは12平誠都(2年)。4バックは右から17増井那月(3年)、3上田慶輔(3年)、キャプテンの7宮地陸翔(3年)、10桐原惺琉(3年)。中盤はダブルボランチが4新谷杏士(3年)と6執行隼真(3年)。サイドハーフの右が京都府大会出場なしから抜擢された25谷田伎倖杜(3年)、左が16河村頼輝(2年)。2トップは8吉野歩夢(3年)と9伊藤湊太(2年)。京都府大会決勝のスタメンからは25谷田に加え、8吉野も入れ替わった。 試合は開始早々から両校アグレッシブさが全面に表れる期待通りの好勝負に。その中で11堀江のシュートにより左コーナーキックを得た帝京は5分、その堀江がファーサイドめがけて放った正確なコーナーキックに反応した5ラビーニがヘディング。逆サイドへ狙いすましたシュートが決まり、15大会ぶりに選手権での得点をマーク。その後は京都橘も左サイドに流れてから変幻自在のドリブルで切れ込む9伊藤や、6執行の正確なキックに立脚したコーナーキックで同点を狙うも同点はならず。前半は押されながらもボランチ8砂押を中心にゲームをコントロールした帝京が1点リードで折り返す。 後半、最初のチャンスをつかんだのは京都橘。50分に9伊藤が強烈な左足シュートを放つ。ここは前半から再三好セーブを連発していた帝京GK1大橋の横っ飛びセーブに阻まれるが、その後も京都橘はやや重心が後ろになった帝京陣内でゲームを展開。その攻勢は73分、ついに実った。 右CKを16河村とのワンツーで受けた6執行はショートコーナーキックにしたことにより生まれた帝京守備網のわずかなスキを見逃さずニアサイドへクロス、これを10桐原が頭で合わせ同点ゴール。この瞬間、1,000人近くが詰めかけた京都橘応援席からは大歓声が上がった。 ただ、帝京は逆転勝ちした東京B決勝同様、失点をバネにする「魂」が備わっていた。直後の75分、センターサークル近くでボールを持った8砂押は左足でゴール前へ浮き球パスを供給。京都橘のクリアが小さくなったところを拾った10森田は落ち着いてペナルティーエリア左でフリーとなっていた交代出場のMF9宮本周征(2年)へボールを流し、宮本はこれも落ち着いて逆サイドネットを狙った低弾道シュート。これが決まって帝京は再び一歩前へ出る。 京都橘も猛攻を見せ、アディショナルタイムには6執行がフリーでミドルシュートを放つが、これはバーの乾いた音に弾き返されタイムアップ。終わってみれば、攻守に球際で粘りぬいた帝京が京都橘を2-1で下し、12月31日に神奈川・等々力会場の第2試合で金沢学院大附(石川)vs鹿児島城西(鹿児島)の勝者と対戦する2回戦へと駒を進めた。 2022年には当時2年生で今季はFC今治のJ2初昇格に大きく貢献したDF梅木怜、FW横山夢樹らが活躍しインターハイ準優勝するなど、近年は全国トップレベルの力を蓄えてきた帝京だが、選手権での勝利は2007年度・第86回大会1回戦の済美(愛媛)戦以来、実に17年ぶりと久々。 この日「魂」を聖地で存分に見せつけた名門は「優勝を成し遂げるための勝利を追及していけるようにコツコツとやっていく」と就任1年目の第76回大会帝京選手権準優勝メンバー・藤倉寛監督が試合直後に語った過程を大事に、この日得た成功体験を自信に変えて、第70回大会・四日市中央工(三重)との両校優勝以来遠ざかる選手権制覇への道を踏みしめていく。 (文=編集部 写真=矢島公彦)