山善、次世代ロボット「ロボこたつ」--上下分離構造で製造現場を最適化
工作機械やロボット、住宅設備などを手掛ける専門商社の山善は11月28日、製造業の現場で使う次世代型のロボット用最新モビリティーシステム「ROBO-COTATZ(ロボこたつ)」を発表した。協働ロボットと無人搬送車(AGV)を組み合わせて、効率的な現場の自動化を支援する。同日から本格販売を開始する。ロボこたつ本体にテックマン製の協働ロボット、YOUIBOT製の自律走行搬送ロボット(AMR)を組み合わせて販売していく予定。導入価格は1680万円から。 ロボこたつは、本体の上に協働ロボットを設置し、AGVがロボこたつの下に潜り込み本体ごと持ち上げることで、自動的に別の作業場所へ移動させる仕組み。複数工程間で協働ロボットを共有でき、ロボットの作業中はAGVに別作業をさせられるなど、効率的かつ最小限の台数とコストで運用が可能だ。 協働ロボットは、従業員と一緒に作業できるため安全性が高く、条件を満たせば安全柵なしでの運用が可能。動くスピードはそれほど速くなく、多品種少量生産の現場に向く。一方、AGVは、物流倉庫などで使われることが一般的だが、昨今、製造現場でも普及しているとのこと。中でも自律走行ができるAMRの導入が進む。 「協働ロボットやAGVを導入すれば、製造現場の自動化が進むと思われるかもしれないがそうではない。多品種少量生産の現場では、ロボットやAGVの台数を増やしすぎると稼働率が低くなってしまう。そうなるとコストがかさみ、費用対効果が高まらない。自動化に対し、二の足を踏んでしまうという課題がある。そのため、小規模な設備を必要な時に、必要な場所に最適配置することが必要になる。この発想から開発したのがロボこたつだ」(山善 トータル・ファクトリー・ソリューション支社長の中山勝人氏)と開発のきっかけを話す。 ロボこたつは、山善のTFS(Total Factory Solution)支社技術サポート部とグループ会社の東邦工業が共同で開発したもの。2023年に開催した「2023国際ロボット展」でプロトタイプを出展し、バッテリーの選定や回路設計の新規開発、安全センサーやエアーコンプレッサーなどの部品を本体に収めることで、システムとして完成させた。 本体には、コントローラーと通信機器、バッテリーなどを搭載し、作業エリアにおける電源の確保は不要。協働ロボットだけでなく、駆動コンベアを搭載するなどの拡張性も備え、現場にあった最適なソリューションを提供できるとしている。 中山氏は「人手不足はどの業界でも言われているが、製造業に関しては年々深刻さが増している。2024年度上半期の人手不足による関連倒産は148件。過去最多となった2023年度を上回った。このような状況で協働ロボットの需要は日々高まっており、世界市場は2033年に3兆円規模に上ると言われている」と現状を説明する。 ROBO-COTATZというネーミングは、「Corporated Technical Aid TOHO And YAMAZEN」の略。山善では、2024年度にロボこたつ10セットの販売を目指す。