ソフトの21歳上林誠知がGWに4発11打点の「恐怖8番」。その覚醒理由とは?
モンスターの覚醒が止まらない。 “熱男”の松田宣浩が一日間違えて「おめでとうございます」とやった工藤監督の5日の本当の54歳の誕生日に背番号「54」のデスパイネが土壇場の9回に同点2ランをプレゼント、そして勝負を決めたのは、二死から今季6号を放った上林誠知(21)だった。4年目の覚醒である。 「とにかく食らいついていこうと。うまくバットにひっかかってくれた」 131キロの益田のパワーシンカー。ストライクゾーンの低めに落ちてくる難しいボールだったが、絶妙のボディバランスとバットコントロールですくい上げた。バットのヘッドが力強く返った打球は、低い弾道を描いてライトスタンドへ突き刺さった。 「ホームランは狙っていなかったのですが、結果的に最高の形になって良かったです」 これが決勝アーチ。敵地で上林はヒーローインタビューに呼ばれた。 2回二死走者無しからの第1打席目は「なんとか塁に出ようと。三塁のポジションも見て、セーフティをしてみようと、決断した」と、三塁前に絶妙のセーフティバントを決めた。すぐさま盗塁を仕掛けて、失敗に終わったが、イチローに憧れた背番号「51」のプレースタイルの匂いが漂う。 GWに入って4試合で3本塁打11打点。恐怖の8番として、5連勝中に8本塁打、23打点と爆発している下位打線の中心となっている。相手チームからすればクリーンナップが2つある感覚だろう。 先日、ムネリンが「ホークスは、とんでもないモンスターを生み出した」と、上林の覚醒をムネリン節で表現したが、開幕から「9番・ライト」でスタメン抜擢されると、22試合でスタメン出場している。対左投手でも3試合に使われ、レギュラーのポジションを確固たるものにしつつある。 トータルでも、打率.309、6本塁打、16打点、3盗塁の数字をマークしている。 21歳の上林の覚醒理由を工藤監督はこう語る。 「打席ごとの考え方がよくなっている。セーフティーを成功させたが、周りが見えて視野が広がった。ベンチでも、ネクスト(バッターズサークル)でも、常に相手のピッチャーにタイミングを合わせている。集中できているのも、日々のそういう積み重ね。打撃コーチも早くから出てつきっきりで指導している。周りに感謝をして、日々、勉強してほしいね」 2016年シーズンは地獄を見た。 「個人的にとても苦しいシーズンでした、なんとか前を向いてやってきたかいがあったかなと、今は思っています」