原辰徳氏から阿部監督へ「こういう意図であの作戦を取ったとナインに説明すべき」バントは「消極的に見えた」
◆日本生命セ・パ交流戦 巨人0―2ソフトバンク(28日・東京ドーム) 試合を分けたのは、1点を追う6回無死一、三塁の攻撃だった。オコエはバントをしたが、捕手前に大きく弾む打球となり、三塁走者・立岡は生還できず、二塁に走者を進めるにとどまった。結果、この回は無得点に終わった。私はバントには積極的なバント、消極的なバントがあると思っており、あの場面は私には後者に映った。 【写真】王貞治さん、張本勲さん、前巨人監督の原辰徳さんが記念撮影 最初に強調するが、作戦の是非を問うつもりは一切ない。ただ一つ、ベンチのサインだったのならば、こういう意図であの作戦を取ったとナインに説明すべきだ。そうすれば今後また同じ作戦を取ったとしても、うんと成功率は高まるだろう。全てを次につなげ、生かすのが143試合を戦うペナントレースの鉄則だ。 シーズンはおよそ3分の1を終えた。交流戦に貯金2を持って突入したことは、とても素晴らしいことだと言える。私は監督として、シーズンを大きく3つに分けて考えてきた。開幕からここまでは戦力を試しながらチームの“大枠”を描く。ここからの3分の1で戦う態勢を整え、そしてシーズン佳境にさしかかる最後の3分の1を走り抜ける。 阿部監督もここまではいろんな戦力を見極め、打順を組む時間にあてたはずだ。次のステップで、チームの戦い方を固めていく作業になるだろう。その鍵を握るのが、この交流戦になるのは間違いない。 現場にいる時は意識はしていなかったが、歴史が物語るように交流戦の成績は不思議と最終成績に直結する。ただ、大きく考えすぎても簡単にはいかない。まずは出遅れないこと、大きく負け越さないこと。最低5割、カード勝ち越しを重ねていこうと、これくらいでいい。18試合は短いようで長いもの。自分自身を重荷で縛る必要はない。 現在、巨人は打撃にやや迫力を欠く。打開する役目は(岡本)和真に望みたい。今の成績は悪くはないが、はっきり言ってこんなものではない。気になるのは凡退しても、胸を張って帰ってくるように見える。聞けば、主将として下を向く姿を見せまいとあえてやっているようだが、どこかで打てなかったことを割り切っているようにも映る。 やっぱり王さん、長嶋さん、松井とか由伸、慎之助も、私も含めて、勝ち負けを全て背負うのが、勝利至上主義で戦うジャイアンツの4番の宿命。4番が打てばチームが生きる。打てなければ、自らを叱咤(しった)する気持ちを見せたっていい。誰よりも期待しているからこそ、言わせてもらう。(巨人軍オーナー付特別顧問・原 辰徳) 〇…原辰徳前巨人監督(65)が、王貞治DAYでセレモニアルピッチに登場した。「何か(ホームまでの)18.44メートルが遠く感じましたね。でもちゃんと届いてましたね」と、ノーバウンドでストライク投球し、盛り上げた。現役時代は、王監督の下で5年間プレー。恩師との思い出について「やっぱり鉄人でしょうね。ファンに対する接し方や、そういう精神を勉強させていただいて、強い影響を与えていただきました」と感謝した。
報知新聞社