第10回ふくしま産業賞 特別賞 新田商店(会津美里) 納豆の可能性を追求
1923(大正12)年の創業から100年を超える老舗の納豆店だ。代々築き上げてきた伝統を受け継ぎつつ、未来を見据えて新しい納豆作りに取り組んでいる。 主力商品「会津高田納豆」は創業以来変わらない手作りの製法で、じっくり熟成させて仕上げる。粒のやわらかさと大豆の甘みが特長。長年、地域で親しまれている。 新しい味わい方を広げようと、近年は新商品の開発に励む。会津地方の大塩温泉で取れる山塩を使ったたれで食べる「山塩納豆」、化学調味料や砂糖を一切使わないスパイスで味わう納豆を生み出した。スパイスは都内料理店のシェフ監修の下、和風の七味、エスニックなクミン塩の2種類を作った。納豆の文化を広く海外にも伝えようと模索する。2023(令和5)年には米国で試験的に販売し、現地の消費者の反応を確かめた。 健康志向の高まりで、発酵食品の注目度は増している。さらに健康づくりにつながる商品を作ろうと、地元の農業生産法人と連携し、有機大豆を使ったJAS認証のオーガニック納豆の製造販売を始める。
4代目の新田俊社長(39)は「地域に根差しながら新たな事業を展開し、挑戦を続ける。納豆の魅力を広く伝えていきたい」と言葉に力を込める。 ■メモ ▽創業=1923(大正12)年 ▽社長=新田俊 ▽従業員数=8人 ▽住所=会津美里町字高田甲2914 ▽電話番号=0242(54)3261